日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロタネソウ」の意味・わかりやすい解説
クロタネソウ
くろたねそう
[学] Nigella damascena L.
キンポウゲ科(APG分類:キンポウゲ科)の一年草。一般には属名のニゲラでよばれる。南ヨーロッパ原産。高さ約50センチメートル、よく分枝して茂る。葉は羽状細裂する糸状葉で、5~6月、茎上に径3~4センチメートルの花を上向きに単生する。花弁はなく、萼片(がくへん)が花弁状となり、細裂する包葉片に囲まれる。果実は大きく風船状に膨らみ、中に黒色の種子があり、この種子はメロン様の芳香がある。種子は暗発芽性種子(暗闇(くらやみ)で発芽する)として知られている。
秋播(ま)き一年草として扱われ、9月に播種(はしゅ)し、冬季は霜よけをする。寒地では春播きにする。花壇、切り花用とする。クロタネソウ属は地中海沿岸から中央アジアにかけて20種ほど分布し、クロタネソウ以外にN. hispanica L.などいくつかは観賞用とされるほか、N. sativa L.のように蔬菜(そさい)用または種子を調味料とするために栽培されるものもある。
[柳 宗民 2020年3月18日]