クロムグリーン(読み)くろむぐりーん(英語表記)chrome green

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロムグリーン」の意味・わかりやすい解説

クロムグリーン
くろむぐりーん
chrome green

一般の無機顔料では黄鉛と紺青との混合物をさし、場合によっては、さらに硫酸バリウムクレーなどの体質顔料を混ぜたものもあり、色調は黄鉛と紺青との混合比で種々のものが得られる。ただし、両者を混合して製品としているものは少なく、使用する直前に両者を希望の色調が出るよう配合する場合がほとんどである。着色力、隠蔽(いんぺい)力はきわめて大きい。耐光、耐候性はあるが、大気中の二酸化硫黄(いおう)で変色、また硫化水素でも黒変する。またアルカリには弱い。ほとんどカラートタン用に使われるほか、ペイント印刷インキクレヨンに用いられる。

 一方、セラミック顔料の分野では酸化クロムアルミニウム(AlCr)2O3系固溶体でCr3+の多い組成の緑をさす。水酸化アルミニウムAl(OH)3と酸化クロム(Ⅲ)Cr2O3とを配合、約1300℃の焼成で得られる。

大塚 淳]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロムグリーン」の意味・わかりやすい解説

クロム・グリーン
chrome green

絵具色名の一つ。第二クロム塩に含まれる緑の色素。クロム・イエローとプルシアン・ブルーの2種類の顔料を配合してつくられる。 19世紀中頃から油絵具として用いられるようになった。配合比率によって濃淡各色相のものが幾種類かできる。耐光性が弱く黒変する欠点をもつ。酸によってクロム・イエローが分解されれば青くなり,アルカリによってプルシアン・ブルーが分解されると暗橙色を呈するなど,変色しやすい。自然変色を防ぐには,ワニス被覆を施すとある程度有効。

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