日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロムグリーン」の意味・わかりやすい解説
クロムグリーン
くろむぐりーん
chrome green
一般の無機顔料では黄鉛と紺青との混合物をさし、場合によっては、さらに硫酸バリウムやクレーなどの体質顔料を混ぜたものもあり、色調は黄鉛と紺青との混合比で種々のものが得られる。ただし、両者を混合して製品としているものは少なく、使用する直前に両者を希望の色調が出るよう配合する場合がほとんどである。着色力、隠蔽(いんぺい)力はきわめて大きい。耐光、耐候性はあるが、大気中の二酸化硫黄(いおう)で変色、また硫化水素でも黒変する。またアルカリには弱い。ほとんどカラートタン用に使われるほか、ペイント、印刷インキ、クレヨンに用いられる。
一方、セラミック顔料の分野では酸化クロムアルミニウム(AlCr)2O3系固溶体でCr3+の多い組成の緑をさす。水酸化アルミニウムAl(OH)3と酸化クロム(Ⅲ)Cr2O3とを配合、約1300℃の焼成で得られる。
[大塚 淳]