紺青(読み)コンジョウ

デジタル大辞泉 「紺青」の意味・読み・例文・類語

こん‐じょう〔‐ジヤウ〕【紺青】

青色顔料の一。一般に、フェロシアン化カリウムの溶液に硫酸鉄酸化剤を加えて製する。酸化コバルトカオリンまたは蝋石ろうせきを配合し、焼成して得られるものもある。天然に産するものとして、岩紺青いわこんじょうがある。日光や酸では変色しない。ベルリン青プルシアンブルーターンブルブルーベレンス
鮮やかな明るい藍色。
[類語]真っ青青色せいしょくあい青藍せいらん紺碧こんぺき群青ぐんじょう瑠璃るりはなだ花色露草色納戸色浅葱あさぎ水色空色ブルーインジゴコバルトシアンウルトラマリンマリンブルースカイブルーターコイズブルー

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精選版 日本国語大辞典 「紺青」の意味・読み・例文・類語

こん‐じょう‥ジャウ【紺青・金青】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 紫がかった鮮やかな青色。また、その顔料。黄血塩に硫化第一鉄を化合させてつくる。ベレンス。プルシャンブルー
    1. [初出の実例]「令近江国献金青〈略〉安芸長門二国金青緑青」(出典:続日本紀‐文武二年(698)九月乙酉)
    2. 「ふじの山は〈略〉さまことなる山の姿の、こんじゃうを塗りたるやうなるに」(出典:更級日記(1059頃))
    3. [その他の文献]〔魏志‐東夷倭人伝〕
  3. 仏の毛髪の色。赤みがかった青色。〔往生要集(984‐985)〕〔菩薩瓔珞経‐二〕

こん‐ぞう‥ザウ【紺青】

  1. 〘 名詞 〙こんじょう(紺青)
    1. [初出の実例]「遠山をながめやれば、こんざうを塗りたるとやいふやうにて、あられふるらしともみえたり」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「紺青」の意味・わかりやすい解説

紺青
こんじょう
prussian blue

一般の無機顔料では、フェロシアン化鉄を主成分とする青色顔料をさし、アイアンブルー、プルシアンブルー、ミロリーブルーなど種々の呼称がある。これに対し、セラミック顔料の分野では、酸化コバルトとカオリンあるいはろう石を配合し焼成したもの(焼貫呉須(やきぬきごす)ともいわれている)をさす。

(1)一般の無機顔料 当初、黄血塩(フェロシアン化カリウム)を原料としたが、入手難、コスト高から、副生の青酸を利用する。開発されたときはカリ紺青であったが、現在はアンモニウム紺青である。製法は、シアン化ナトリウムと硫酸鉄(Ⅱ)(硫酸第一鉄)の反応により、フェロシアン化ナトリウムをつくり、次にこれと硫酸鉄(Ⅱ)を、硫酸アンモニウムの存在下で反応させ、生成した白色沈殿を、硫酸酸性下で熟成し、塩素酸ナトリウムで酸化すると青くなる。この沈殿を濾過(ろか)、乾燥し粉砕する。結晶構造は立方晶、その化学式はNH4Fe[Fe(CN)6]。酸には強いがアルカリには弱い。粒子が大きくなるほど、緑み青から赤み青になる。印刷インキ、塗料、絵の具などに用いられる。

(2)セラミック顔料 CoO-Al2O3-SiO2系の青で、酸化コバルトにカオリンあるいはろう石を配合、1200℃に焼成して得られる。酸化コバルトを直接釉(ゆう)に加えても紺青の色は得られる。それにもかかわらず、この顔料をつくる目的は、少量の酸化コバルトを釉に直接加えても(釉の重量の2%ぐらい)、釉中に均一に分散させることはむずかしく、これを何かで希釈増量した形にして、釉中に分散させやすくすることと、いま一つは、酸化コバルトに混在する四酸化三コバルトCo3O4すなわち(CoOCo2O3)中の3価のコバルトが釉の発泡の原因となり、これを2価としておく必要があるためである。焼成中に生成するものはCoOAl2O3を主体とするスピネルで、コバルトは全量2価の状態で保持されている。海碧(かいへき)(セラミック顔料のコバルトブルー)と違って、カオリンやろう石を原料にするため、素地や釉との親和性がよく、下絵用、素地用にも使われる。石灰釉の場合は約450~700ミリミクロン付近まで吸収の谷となり、素地練り込みの場合より、紫に寄った青となっている。

大塚 淳]


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改訂新版 世界大百科事典 「紺青」の意味・わかりやすい解説

紺青 (こんじょう)

青色無機顔料の一種。1700年代初頭にドイツで発明され,のちフランスのミロリーMiloriによって製法が改良されたため,プルシアンブルーPrussian blue,ベルリン青Berlin blue,ミロリーブルーMilori blue,ベレンスなどとも呼ばれる。化学式FeK[Fe(CN)6],Fe(NH4)[Fe(CN)6],化学名はヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸鉄(Ⅲ)カリウム,またはヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸鉄(Ⅲ)アンモニウム。シアン化ナトリウムに硫酸鉄(Ⅱ)を反応させてフェロシアン化ナトリウムNa4[Fe(CN)6]とし,これに硫酸鉄(Ⅱ),塩化カリウム,硫酸アンモニウムを加えてフェロシアン化鉄(Ⅱ)塩の沈殿とし,塩素酸ナトリウムで酸化して製品とする。比重は1.7~2.0,耐光性,耐酸性は強いが,耐アルカリ性,耐熱性は弱い。着色力,耐油性は優れている。印刷インキ,塗料,合成樹脂,絵具,クレヨン,紙などに使用される。
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百科事典マイペディア 「紺青」の意味・わかりやすい解説

紺青【こんじょう】

ウルトラマリンとともに多く使われる青色無機顔料。プルシアンブルー,ベルリン青,ベレンス,ミロリーブルーなどとも。化学名はヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)カリウム,またはヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)アンモニウム,化学式はFeK[Fe(CN)6],Fe(NH4)[Fe(CN)6]。フェロシアン化ナトリウムに硫酸鉄(II),塩化カリウム,硫酸アンモニウムを加えてできる沈殿を酸化させてつくる。ペンキ,印刷インキ,クレヨンなどに使う。
→関連項目クロムグリーンターンブルブルーフェロシアン化カリウム

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化学辞典 第2版 「紺青」の解説

紺青
コンジョウ
Prussian blue, Berlin blue, iron blue

ベルリンブルー,ベレンズともいう.λmax 470~480 μm の青色顔料の一種.ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸鉄(Ⅲ)カリウムKFe[Fe(CN)6]で示される組成に近い.ただし,原料としてナトリウム塩などを用いるとKはNaにかわる.また,原料の混合比によってKはFeと置換されることもある.濃い青色は,含まれる Fe,Fe両イオン間を-C≡N-によって橋かけされた構造をもっているため,両イオン間の電荷移動吸収が起こるものと考えられる.鉄(Ⅱ)塩にヘキサシアノ鉄(Ⅲ)塩を加えると生じるが,工業的にはむしろ鉄(Ⅱ)塩をヘキサシアノ鉄(Ⅲ)塩に加えたのち空気酸化して,色を調節する.ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウムに鉄(Ⅱ)塩を加えるとできるターンブルブルーも,この紺青と同じ構造をもつものと考えられる.着色力,耐光性,耐酸性は大きいが,耐熱性,耐塩基性は小さい.ペイント,インキ,クレヨンなどの顔料,リノリウム,紙などの着色料に用いられる.

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色名がわかる辞典 「紺青」の解説

こんじょう【紺青】

色名の一つ。JISの色彩規格では「暗いみの」としている。一般に、青色顔料のあざやかで濃い紺色をさす。天然顔料の紺青は平安時代から使われており、岩群青いわぐんじょうとも呼ばれた。原料は藍銅鉱らんどうこう。人工顔料の紺青は18世紀初頭にヨーロッパで発見されたもの。鉄(III)塩の溶液にヘキサシアノ鉄(II)酸カリウムを反応させてつくる。プルシアンブルー、またはベルリンブルーの色名で知られる。絵の具、塗料、印刷インキなどに用いられる。

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普及版 字通 「紺青」の読み・字形・画数・意味

【紺青】こんじよう

空の青色。

字通「紺」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の紺青の言及

【顔料】より

…有機顔料は一般に毒性が小さい。無機顔料の生産量は有機顔料に比べ非常に大きく,日本工業規格(JIS)に規定されている無機顔料は,亜鉛華,鉛白,リトポン,カーボンブラック,鉛丹,べんがら,黄鉛(クロムイェロー),群青(ウルトラマリン),紺青,亜鉛黄(ジンククロメート),沈降性硫酸バリウム,およびバライト粉,二酸化チタンの12品目である。次に代表的無機顔料を色別にあげる。…

【シアノ鉄錯塩】より

…1704年ベルリンの染色業者が輸入品であったウルトラマリン(群青)の代用になる濃い青色の鉄化合物を偶然発見し,プロシア青(プルシアンブルー)と呼んだ。ベルリン青,ベレンス,紺青などともいわれる。これは黄血塩と鉄(III)塩との反応で得られるが,赤血塩と鉄(II)塩との反応でも同様の青色顔料が得られ,こちらはターンブルブルーと呼ばれた。…

※「紺青」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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