改訂新版 世界大百科事典 「クローロ」の意味・わかりやすい解説
クローロ
Karl Krolow
生没年:1915-99
ドイツの詩人。ハノーファーに生まれ,ドイツ,フランス等の文学や哲学,美術史を修めたのち文筆生活に入る。詩的伝統と現代的表現手法の結合,および言葉の純化・明晰化を評価され,1956年ドイツ言語・文学アカデミーのビュヒナー賞を受け,72-75年には同会長を務めるなど,戦後の西ドイツを代表する詩人の一人。レーマンWilhelm Lehmann(1882-1962)等の影響下で感覚繊細な自然詩から出発し,ロルカ,オーデン,またフランスのシュルレアリスト(アポリネール,エリュアール等)に接して全ヨーロッパ的視野を獲得するが,さらにそれらを超えて抒情詩のテーマ,表現手法の革新を一貫して追求,急変する現代とかかわりつつも“非アンガージュマン的・非政治的・非時事的”な詩を書いた。《見えない手》(1962)等の詩は《全詩集》2巻(1965,75)に集成されたが,多数のフランス・スペイン現代詩の翻訳や《現代ドイツ抒情詩の諸相》(1961),《詩的日記》(1966)等のエッセー,評論も重要である。
執筆者:猪口 弘之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報