日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホルトゥーゼン」の意味・わかりやすい解説
ホルトゥーゼン
ほるとぅーぜん
Hans Egon Holthusen
(1913―1997)
ドイツの詩人、評論家。レンツブルクに生まれる。チュービンゲン、ミュンヘンなどの大学で学び、リルケ研究により博士号取得。出版社勤務を経て第二次世界大戦に従軍、戦争体験の悲惨さと罪の意識を歌った詩集『この時の中で』(1949)、『迷宮の歳月』(1952)により、詩人として認められる。以後、ヨーロッパの伝統的な教養に基づく審美主義と、キリスト教的実存主義の立場から文筆活動を続け、ニューヨークのゲーテ・ハウス館長(1961~64)、ノースウエスタン大学教授(1968~81)などアメリカでの教育活動ののち、ミュンヘンに移住した。評論としては、トーマス・マンを論じた『超越なき世界』(1949)、『晩年のリルケ』(1949)、現代文明の危機を批評した『住処なき人間』(1951)、『個人のための弁護』(1967)、『文学の頑迷』(1989)などがあり、またリルケ(1958)、メーリケ(1971)、ベン(1986)など詩人の評伝も著している。
『佃堅輔訳『アヴァンギャルド芸術論』(1981・国文社)』▽『塚越敏・清水毅訳『リルケ』(1981・理想社)』