日本大百科全書(ニッポニカ) 「クワゴ」の意味・わかりやすい解説
クワゴ
くわご / 桑子
[学] Bombyx mandarina
昆虫綱鱗翅(りんし)目カイコガ科に属するガ。はねの開張35~40ミリメートル。はねは褐色あるいは灰褐色。前翅翅頂は出っ張り、翅頂から外縁の前半にかけて黒褐色紋がある。カイコの野生型とみなす学者もあるほど近縁で、雑種も容易につくることができ、しかも第一代雑種(F1)に妊性がある。日本本土の大部分と朝鮮半島や中国に分布する。幼虫もカイコとよく似ているが、紫色を帯びた黒色で、赤色と乳白色の紋がある。ヤマグワやクワの葉を食べ、6月下旬ごろに老熟し、灰白色の繭をつくって蛹化(ようか)する。クワ畑で発生しても、あまり多くないので、害虫として注目されることはない。成虫はよく灯火に飛来する。カイコと同様に口吻(こうふん)が退化しているので、幼虫時代に蓄えた養分によって交尾産卵する。カイコに対しクワコともよぶ。
[井上 寛]