デジタル大辞泉 「シンフォニア」の意味・読み・例文・類語
シンフォニア(〈イタリア〉sinfonia)
2 17世紀から18世紀にかけて、オペラ・オラトリオなどの序曲あるいは間奏曲として用いられた。また、演奏会用に作られた独立の器楽曲。
[補説]作品名別項。→シンフォニア
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イタリア語で交響曲をさすほか,イタリア起源のさまざまな楽曲の名称としても使われた語。なかでも重要なのは17世紀末の〈イタリア風序曲〉で,これをシンフォニアと呼んだ。急-緩(舞曲風の)-急の3楽章からなり,本来はオペラの序曲で,のち単独に演奏されるようにもなった。また並行して演奏会用の作品としてのシンフォニアも作曲され,それらが交響曲へと発展してゆく。
ルネサンス末期からバロックにかけてはある種の合奏音楽をさした。カンツォーナやソナタなどの合奏曲と同義に扱われたこともあり,明確な区別はしがたい。概してオペラやカンタータなどの声楽曲におけるオーケストラだけの部分,それもとくに導入的な部分をさす。また組曲の冒頭楽章にも名付けられたがそれらはしだいに序曲としての性格を強めてゆく。なおバロック時代の独奏鍵盤音楽でも,前奏曲,組曲の冒頭楽章(例えばJ.S.バッハの《パルティータ第2番》)などに用例がある。バッハは《3声のインベンション》をみずからシンフォニアと名付けた。
→交響曲
執筆者:土田 英三郎
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… 18世紀における交響曲の概念は今日のそれと必ずしも一致しない。交響曲と他の諸ジャンルとの様式的差異はかなり明らかになりつつはあったが,〈シンフォニー〉〈シンフォニア〉〈序曲〉という名称はしばしば混用され,これら3者の境界はときとしてかなりあいまいなままであった。交響曲という不可侵の威厳が確立されていたわけでもなかった。…
…17世紀末に,この書法とは対照的な急―緩―急の部分からなる様式の〈イタリア風序曲〉が登場した。ナポリ楽派の始祖ともされるA.スカルラッティが取り入れたこの様式は軽快で,ホモフォニックな書法を特徴とし,シンフォニアとも呼ばれて,やがて18世紀の交響曲やソナタの形成に大きな影響力をもった。 古典派に入ると序曲とオペラ本体との有機的な結びつきが強調され,しばしば内容の雰囲気を予示する役割を担った。…
※「シンフォニア」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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