カリブ海,小アンティル諸島のリーワード諸島に属し,イギリス領アンティル諸島の中に位置するフランスの海外県。面積1780km2,人口42万(1999)。主島はグアドループ島。1493年のコロンブスによる発見後,17世紀初めまでスペイン領であった。1635年,フランス人が占領して以来,英仏間に争奪戦が演じられたが,1815年のパリ条約でフランス植民地となり,1946年に海外県になり,さらに74年には〈地域圏région〉の地位も与えられた。グアドループ島は二つの島から成り,蝶の形をしている。東側がグランド・テールGrand Terre(面積567km2),西側がバス・テールBasse Terre(942km2)と呼ばれ,その名前とは逆に,小さい方のグランド・テールはおおむね低地であり,バス・テールには小アンティル諸島最高峰の火山グランド・スーフリエール(1484m)と,県都バス・テールがある。県域は主島のほか,周辺のマリー・ギャラントMarie-Galante島,レ・サントLes Saintes島,ラ・デジラードLa Désirade島と,さらに離れた2島サン・バルテルミSaint Barthélemy,サン・マルタンの5島を含む(ただし,サン・マルタン島は一部オランダ領)。住民は混血が普通で,統計上ヨーロッパ系とされるものは主としてクレオールであり,外国系には黒人,インド人,中国人が含まれる。フランス語が公用語で,商業用語でもある。クレオールは英語,フランス語,スペイン語などのまじった方言(パトア)を使う。住民の大部分はカトリックだが,プロテスタントもいる。
海外県となって以降,本国から知事が派遣され,また本国の下院に4名,上院に2名の代表を送っている。知事は本国の代表として,42名の議員から成る総合会議Conseil-Généralを総括する。このほかにより広範な社会的・経済的問題を扱う地域圏議会がある。土地の35%が可耕地,25%が森林,25%がサバンナで,農業が基本である。サトウキビとバナナが主産物で,輸出の主柱であるが,ラム酒と糖蜜も重要な輸出品となっている。牧畜はグランド・テールで盛んに行われている。商業の中心はポアンタ・ピートルである。気温は17~33℃と高いが,真夏の酷暑は北東風で緩和される。ハリケーンの進路にあたっており,時として大きな被害を受けることがある。
執筆者:橋本 芳雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
カリブ海東部にあるフランスの海外県。小アンティル諸島中のリーワード諸島南部に位置する。主要部は西のバス・テール島と東のグランド・テール島の二つの島(2島は架橋されている)であり、その他南方のマリー・ガラント島、サント島などの島々から構成される。総面積1705平方キロメートル、総人口42万2496(1999)。バス・テール島とグランド・テール島の二つを合わせてグアドループ島とよぶこともある。バス・テール島は火山島で、ここのスーフリエール火山は1976年突然噴火した。同島のバス・テールはグアドループの中心都市で人口は1万2410(1999)。グランド・テール島はサンゴ礁の島である。主産物は砂糖、バナナ、コーヒー、カカオ、ラム酒。1635年先住民のカリブ人を追い出してフランス人が入植したが、領有権をめぐってイギリスと争い、1815年にフランス領となり、1946年フランスの海外県に昇格した。
[菅野峰明]
カリブ海,小アンティル諸島のリーワード諸島南端の島々。17世紀後半フランス人が入植してサトウキビの栽培に成功し,1674年に王領となった。その後イギリスとの間で領有が争われたが,1814年のパリ条約でフランス領に帰し,1946年フランスの海外県となった。現在でも砂糖,バナナ,ラム酒が主な産物。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新