日本大百科全書(ニッポニカ) 「グラニュライト」の意味・わかりやすい解説
グラニュライト
ぐらにゅらいと
granulite
白榴岩(はくりゅうがん)ともいう。元来は、石英や長石のように特別な晶癖(しょうへき)をもたない鉱物の、等粒かつ粒状の組織からなる変成岩のことであったが、いまではこの意味に使われることはほとんどない。そして、高い温度(700~800℃)で、かつ水に乏しい条件、つまりグラニュライト相の条件で生成した広域変成岩を総称するのが普通である。
高温条件下では含水鉱物は不安定となって分解するため、典型的なグラニュライトは含水鉱物を含まない。たとえば、黒雲母(くろうんも)や普通角閃石は分解し、斜方輝石、カルシウム輝石、長石類などを生ずる。したがって、グラニュライトの主成分は、石英、カリウム長石、斜長石、斜方輝石、カルシウム輝石、ざくろ石、珪(けい)線石など、すべて水を含まない鉱物である。また、グラニュライトでは、元来無色であるはずの石英や長石が、しばしば青色、青緑色、褐色などに着色しているため、これらに富む珪長質の岩石でも、肉眼的には白色ないし淡灰色でなく、暗い色にみえる。
グラニュライトは先カンブリア時代の岩石に多く、したがって楯状地(たてじょうち)に広く分布する。しばしば、エクロジャイトやアノーソサイトを伴う。また、陸地の下部地殻はグラニュライトからできているものと思われている。グラニュライトは変成岩と考えられているが、以前はその反対に、大部分が火成岩であると思われていた。
[橋本光男]