ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グリボーバル」の意味・わかりやすい解説
グリボーバル
Gribeauval, Jean-Baptiste Vaquette de
[没]1789.5.9. パリ
フランスの陸軍士官,技術者。1732年に志願兵としてフランス陸軍に入隊,1735年に士官となる。1757年,オーストリア軍に派遣され,1756~63年の七年戦争で砲兵隊大将を務めた。1776年フランスの砲兵部隊総監となり,大砲の改良に着手した。その一つは,従来まちまちだった野砲の口径を,3種類に統一したことである。直径の寸法が正確な,完全な球形の砲弾を使用することによって,砲身を短くし,軽量化しながらも,より少ない装薬で射程を延ばすことができた。グリボーバルの指導のもとフランスの砲兵隊は,規格化さればらつきの少ない,取り扱いの簡単な薬包と砲弾のセットを使用するようになった。また,互換性のある車輪や部品を用いる砲架を導入した。この砲架は,鉄製の昇降ねじで砲身を上げやすくしてあり,山野での移動にも耐えられるよう鉄製の車軸を装備していた。もう一つの注目すべき改革は,砲架を引く荷馬の配置を 1列縦隊から 2列縦隊にしたことで,牽引力が増し,一隊に必要な馬数が減った。これらの改良により,フランス軍の野戦砲兵隊の機動力と威力は大いに向上した。さらに,大砲を使用目的別に野砲,攻城砲,沿岸砲の三つに明確に分類した。やがてこれらの改良は,18世紀末から 19世紀初頭にかけてのナポレオン1世の華々しい軍事的勝利に貢献した。
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