改訂新版 世界大百科事典 「ケイビラン」の意味・わかりやすい解説
ケイビラン
Alectorurus yedoensis(Maxim.)Makino
西南日本の太平洋側の山地の岩場に生育する1属1種で日本特産のユリ科植物。ユリ科の中では特殊化の進んだ群であるツルボラン亜科に属し,熱帯性のオリヅルラン属などに類縁があると考えられている。夏緑性の多年草。葉は根生し,鎌形に曲がった線形でやや肉質,裏面に白い線があって美しい。ケイビランは鶏尾蘭の意味で,鎌形に曲がって叢生(そうせい)する葉をニワトリの尾に見たてたもので,属名も同義である。花茎は高さ10~40cm,扁平で両側にはりだした狭い翼がある。花は8月,円錐花序につく。雌雄の分化があり,雄花では子房が,雌花ではおしべが退化的である。花被片は淡紫色。果実は蒴果(さくか)で直径約4mm,種子は基部に長い白毛がある。山草愛好家によって栽培されることがある。
執筆者:矢原 徹一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報