フランスの小説家,ジャーナリスト。ユダヤ系ロシア人を父としてアルゼンチンに生まれ,ロシアとパリで学んだ。パリで第1次大戦にあい,新聞記者として活動をはじめるとともに空軍に志願して空中戦を経験した。この時に知った闘う男の友情が以後の作品の主要なテーマとなる。作家としてはロシアを舞台とする《赤い草原》(1922)が処女作,《プリンスたちの夜》(1928)ではアカデミー賞を受賞。一方《搭乗員》(1923)から《空の大隊》(1946)にいたる戦争小説で人気を博した。報道記者として世界各地の戦乱に立ち会い,異郷の風物を見聞した経験がその文学作品の根幹をなしている。ケニアを舞台とした《ライオン》,イスラエル建国の冒険を描く《愛と火の土地》のほか,第2次大戦を題材とする作品も多い。大戦中,彼自身はド・ゴールの〈自由フランス〉運動に加わっている。歴史絵巻を生彩ある筆致で描く作家として知られるが,一方では《昼顔》(1929)のように異常心理を扱った作品もある。
執筆者:田中 淳一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
フランスの小説家。ユダヤ系ロシア人としてアルゼンチンに生まれる。ロシア、フランス両国で教育を受けてジャーナリストとなる。第一次世界大戦中は航空士官、その後シベリア踏査などに参加。以後世界各地の大事件をルポルタージュする。その体験から『赤い草原』(1922)、『搭乗員』(1923)を書いて認められ、またスペイン内乱、抗独レジスタンス体験から、『影の軍隊』(1946)、両大戦間期の壮大なパノラマ『幸福の後に来るもの』(1950)、イスラエル建国の物語『愛と火の大地』(1961)、アフガン戦士の冒険『騎兵』(1968)などを書いた。つねに激動のなかに身を置いて冒険の精神を生きた著者の作品は、いずれも世界のリアルな描写のうちに、行動に輝く生命を表現している。また人妻の売春を主題に特異な心理を描く『昼顔』(1928)、人と動物の心を描く『ライオン』(1958)などを含め、多産な創作活動を示した。アカデミー・フランセーズ会員。
[小林 茂]
『堀口大学訳『昼顔』(新潮文庫)』
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