りゅう座(読み)りゅうざ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「りゅう座」の意味・わかりやすい解説

りゅう座
りゅうざ / 竜座

北天の大型星座ヘルクレス座足元から北へ西へと折れ曲がりながら星を連ね、こぐま座を半周して北斗七星の近くに尾を滑り込ませている。したがって、一年中ほとんどいつでも北の空に見えているが、宵の北の空高く昇って見ごろとなるのは夏のころとなる。ギリシア神話では、ヘラクレスの12の冒険談のうちの11番目のもので、ヘスペリデスたち三姉妹が天の花園で守っていた黄金リンゴの木を番する火を吐く竜とされている。竜の尾の中ほどに輝く3等のα(アルファ)星はトゥバン(竜または蛇の意)とよばれ、この星座を代表する名がつけられているが、紀元前2796年には、天の北極にもっとも近づき北極星として輝いていた星である。現在は歳差のため北極星はこぐま座αに移っている。

[藤井 旭]

『小林悦子文、藤井旭写真『春・夏の星座』(1992・講談社)』『林完次著、三嶋典東絵『おはなし星座館「夏」』(1992・ぎょうせい)』『藤井旭著『春・夏星座図鑑――もっと知りたい春・夏の星座』(2002・偕成社)』『藤井旭著『星座大全――夏の星座』(2003・作品社)』


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改訂新版 世界大百科事典 「りゅう座」の意味・わかりやすい解説

りゅう(竜)座 (りゅうざ)
Draco

略号はDra。北天の大星座。北極をとりまき,おおくま座,こぐま座にはさまれ,細長く北天を半周する。ギリシア神話では,ヘスペリデスが守る金のリンゴの番人である巨竜ラドンで,英雄ヘラクレスの12の難行の一つが,このヘスペリデスの園のリンゴをとることであった。ヘラクレスは彼女たちの父アトラス肩代りとして天球を支え,代りにリンゴをとってもらった。α星トゥバン(竜)は光度3.65等,A0型の巨星で竜の胴の中央部に当たる星だが,前3000年ころには天の北極にもっとも近い輝星であり,古代エジプトではこれが北極星の役を果たしていた。γ星エルタニン(あたま)は光度2.23等,K5型の巨星で,グリニジ天文台の天頂星であり,J.B.ブラッドリーはこの星を観測して1728年に光行差を発見した。また10月に現れるジャコビニ流星雨の放射点もこの星の近くにある。また黄道の北極はδ星の近くにある。概略位置は赤経17h0m,赤緯+60°。この星座の中心部の午後8時の南中8月上旬である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「りゅう座」の意味・わかりやすい解説

りゅう座
りゅうざ
Draco

竜座。周極の星座。概略位置は赤経 17時,赤緯 60°。中心は8月の宵に南中するが,全体としておおぐま座とこぐま座の間に延びて北極を半周にわたり取巻いている。α星トゥーバンは実視等級 3.64等で 4600年前には北極星であった。

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百科事典マイペディア 「りゅう座」の意味・わかりやすい解説

りゅう(竜)座【りゅうざ】

8月上旬の夕方,北天高く見える大星座。一部はこぐま座をとりまいて一年中見える。α星トゥバンは古代エジプト時代の北極星。ギリシア神話でヘスペリデスの庭園にある金のリンゴのなる木を守る竜を象徴。

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世界大百科事典(旧版)内のりゅう座の言及

【トビトカゲ】より

…翼膜を広げ滑空することができるアガマ科トビトカゲ属Dracoに属するトカゲの総称。インド,東南アジア,中国南部,フィリピンにマライトビトカゲD. volans(イラスト)など17種ほどが分布する。…

※「りゅう座」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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