ケーニヒ(読み)けーにひ(英語表記)René König

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケーニヒ」の意味・わかりやすい解説

ケーニヒ(René König)
けーにひ
René König
(1906―1992)

ドイツの社会学者ウィーン大学ベルリン大学、パリ大学で言語学、哲学、社会学を学んだ。第二次世界大戦中はスイスに亡命していたが、戦後1949年ケルン大学の教授としてウィーゼ招聘(しょうへい)され、1974年に退官した。戦後のドイツ社会学を代表する学者の一人。戦前のドイツ社会学に対する批判的立場から、積極的にアメリカ社会学の導入を図った。とくにドイツにおける実証的研究調査の発展のために、ケルン学派を主宰し実績をあげた。専門分野は当初「家族」を主としていたが、理論、学説史、調査法、社会心理学、産業、マスコミなどきわめて広範にわたっている。同時に社会学の「現在科学的」立場を標榜(ひょうぼう)し、「経験的社会調査」の実績を方法論とともに確立した。ドイツにおける伝統ある『ケルン社会学および社会心理学雑誌』の編集責任者として学会に寄与するとともに、世界各地の大学で客員教授を務めるかたわら、国際社会学会をはじめ各種学会の役員として活躍した。主著に『マキャベッリ』(1941)、『現代の社会学』(1949)などがある。

[鈴木幸寿]

『鈴木幸寿・佐藤智雄訳『現代の社会学』(1957・誠信書房)』『片岡律子・小川さくえ訳『マキアヴェッリ――転換期の危機分析』(2001・法政大学出版局)』『Heine von Alemann, Gerhard Kunz(Hrsg.)René König : Gesamtverzeichnis der Schriften(1992, Opladen)』


ケーニヒ(Friedrich König)
けーにひ
Friedrich König
(1774―1833)

ドイツの印刷技術者。動力印刷機の製作を志し、出資者を求めて1806年イギリスへ渡り、ロンドンの印刷業者のために動力を用いたねじ式印刷機を製作した(1810)。ついで、ニコルソンの発明にヒントを得て、印刷技術史上に画期的な最初の円圧型印刷機を製作し(1811)、さらに当時世界最大の新聞『ロンドン・タイムズ』のために複動型の円圧印刷機を1814年に完成した。同年11月29日付け『タイムズ』紙は、この新聞が蒸気力で運転される印刷機によって毎時1100枚の速度で印刷される最初のものであると報道した。その後帰国し、同郷の親友バウアーAndreas Bauer(1783―1860)とともにウュルツブルクに印刷機製作工場を設け(1817)、高速輪転機を製作した。この会社はケーニヒの没後バウアーが、バウアーの没後はケーニヒの子が経営し、高い技術水準を維持した。

山崎俊雄


ケーニヒ(Karl Rudolph König)
けーにひ
Karl Rudolph König
(1832―1901)

ドイツの物理学者ケーニヒスベルクに生まれ、ケーニヒスベルク大学で物理学の学位を取得、以後パリに移った。パリでは数年間バイオリン製作の修業をしたのち、1858年からさまざまな音響装置の製作と実験を行った。1862年のロンドンの万国博覧会には「躍り火」装置を出品、金賞を得た。これは、らっぱを通して集められた音の振動が装置に備えた膜を震わせ、それによる炎の形の変化を観測するという装置であった。そのほか、回転ドラムに音波を記録する装置、いくつかの母音を人工的に合成するための音叉(おんさ)と共鳴器との組合せ装置なども知られている。また人間の可聴音域を精密に測定し、最高値が年齢によって低下することを自ら確認した。1882年、数多くの実験を『音響学の諸実験』と題して本にまとめ刊行した。

[高山 進]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケーニヒ」の意味・わかりやすい解説

ケーニヒ
Koenig, Marie-Pierre (-Joseph-François)

[生]1898.10.10. カーン
[没]1970.9.2. ヌイリシュルセーヌ
フランスの陸軍軍人。第2次世界大戦初期にはノルウェーとフランスで戦い,ドイツ軍のフランス占領後,1940年6月イギリスに脱出,ドゴールの自由フランス軍に参加。 42年5~6月旅団長として北アフリカのビルハッケイムで E.ロンメル将軍の枢軸軍の進撃を食止め,44年占領下の本国で対ドイツのゲリラ軍を指揮した。終戦時にはドイツ駐留フランス軍司令官となった。 50年軍を退き,国民議会にドゴール派として出馬。 54,55年の2回,国防相をつとめた。

ケーニヒ
König, Friedrich

[生]1774.4.17. ザクセン,アイスレーベン
[没]1833.1.17. オーベルゼル
ドイツの印刷技術者。 20歳までライプチヒで印刷技術を修得したのち,印刷機の改良に没頭。出資者を求めてロシアまで旅行し,1806年ロンドンに行き,まず平版印刷機の特許を取り,11年蒸気機関と連動できるシリンダ (円筒式) 輪転印刷機を開発。これは1時間に片面 1100枚の印刷能力があり,新聞印刷費を 25%節減できた。 17年ロンドン・タイムズ社を辞してドイツに帰り,印刷機製造を始めたが,これがのちにケーニヒ=バウアー社に発展した。

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