ゲッセマネの園(読み)ゲッセマネノソノ

デジタル大辞泉 「ゲッセマネの園」の意味・読み・例文・類語

ゲッセマネ‐の‐その【ゲッセマネの園】

Gethsemane》⇒ゲッセマネ

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改訂新版 世界大百科事典 「ゲッセマネの園」の意味・わかりやすい解説

ゲッセマネの園 (ゲッセマネのその)

ゲッセマネGethsemaneとはヘブライ語で〈オリーブ油しぼり〉を意味し,その名のとおり,エルサレムの東のケデロンの谷をへだてたオリーブ山にある園。《マルコによる福音書》14章32節(および他福音書中の並行個所)がこの名に言及する。イエスユダヤ教徒たちによって捕らえられる前夜〈地にひれ伏して〉祈ったとされる場所。《ヨハネによる福音書》18章1~2節によればイエスと弟子たちはしばしばここに集まった。現在付近にはカトリック教会,ギリシア正教会,ロシア正教会,アルメニア教会の教会堂が建つ。
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〈ゲッセマネの園〉に関連する美術主題には,(1)ゲッセマネの祈りと,それに続く(2)キリスト捕縛(ユダの接吻)がある。(1)はオリーブ山を示唆する岩山の前でキリストがひざまずいて(または地面に伏して)祈り,空中に現れる神(上半身または右手によって示唆される)あるいは聖杯を持つ天使(十字架受難具を持つこともある)によって力づけられている。キリストの下方の園には,ペテロ,ヤコブ,ヨハネ(時として十二使徒)が一群となってしばしば眠り込んでおり,彼らを起こすキリストと祈るキリストが同一構図に2度現れることもある。(2)はユダがキリストに裏切りの接吻をする瞬間によって表現されることが多く,2人の周囲兵士使徒が取り囲む。ペテロがマルコスの耳を切り落とし,キリストがそれを治す挿話,衣を脱ぎ捨てて逃げる若い使徒の挿話(いずれも福音書に語られている)などが導入されることもある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゲッセマネの園」の意味・わかりやすい解説

ゲツセマネの園
ゲツセマネのその
Gethsemane

イエス・キリストが祈るためにたびたび訪れ,また十字架にかけられる前夜,血の汗をしたたらせながら神に祈ったとされる場所(→キリストの受難)。福音書の記述を総合すると,イスラエルエルサレム東方,キドロンの谷を隔てたオリーブ山西麓にあるオリーブ園をさす。ヘブライ語では gat shemanimと記し「油しぼり」を意味する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゲッセマネの園」の意味・わかりやすい解説

ゲツセマネの園
げつせまねのその
Gethsemane

イエス・キリストが最後の祈りを捧(ささ)げた所。エルサレムの東側のオリブ山の西麓(せいろく)にあるオリーブ園をさす。イエスは十字架にかかる前夜、最後の晩餐(ばんさん)の後ここにきて、血の汗を流して「この杯をわたしから取りのけてください」と祈った直後にユダの手引きする官憲の手に捕らえられている。本来の名はgath shemenで、ヘブライ語で「油しぼり」の意である。現在はいくつかの教会堂が建ち、カトリック教会の庭園には、樹齢数百年のオリーブの大樹が数本茂り、巡礼者の憩いの場となっている。

[清重尚弘]

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百科事典マイペディア 「ゲッセマネの園」の意味・わかりやすい解説

ゲッセマネの園【ゲッセマネのその】

ゲッセマネGethsemaneとはヘブライ語で〈オリーブ油絞り〉の意。エルサレム近郊のオリーブ山麓の園。キリストが受難に先立って苦悩し,最後の祈りをささげ,捕縛された所(《マルコによる福音書》14:32ほか)。
→関連項目オリーブ[山]

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