翻訳|gamification
ゲームソフトにみられるプレーヤーを楽しませる発想や手法、デザインのくふうなどを一般的な分野に応用し、人を引きつけたり、興味をかりたてたりする効果を取り入れることをいう。ゲーム化を意味する英語のゲーミフィケイトgamificateという造語に由来する。
もっとも典型的な事例は、ルールや操作方法をわかりやすくプレーヤーに伝え、長時間を飽きさせず、技能を段階的に高めさせていくようなゲームの仕組みそのものを応用した手法である。この仕組みをヒントにした効果は、機器の操作の解説書や子供向けの教材といった分野にまで幅広く導入されている。インターネットのウェブサービスでは、ゲーミフィケーションが消費者の購入意欲を高め、付加価値を与えてサービスの利用につなげるマーケティング手法として注目されている。たとえば、航空会社やショッピングサイトのポイント制やランクづけはゲーム的な手法の一つであり、スポーツメーカーや健康器具メーカーが、自社製品の利用者に運動量や消費カロリーの計測サービスを、ウェブサイトで提供していることもその一種である。このような事例は、消費者の利用実績を可視化することにより、新しい購買意欲や次の目標意識を与えることにつながっている。
ゲーミフィケーションが社会問題の解決に向けて利用されるケースもある。2010年には、国際復興開発銀行(世界銀行)の支援を受け、ゲーム的手法で社会問題の解決策を探る試みがインターネットのオンラインゲームとして行われた。この代替現実ゲーム(ARG:alternate reality game)はEVOKE(イボーク)という名称で、2020年に世界が直面する食糧問題やエネルギー問題をテーマとしている。プレーヤーは近未来の仮想空間を舞台に、ほかの参加者と協議をし、アイデアを出し合いながら、さまざまな社会問題の解決を探っていくというゲームであった。
日本では、2011年(平成23)3月の福島第一原子力発電所事故に起因した、夏季や冬季の節電に対する試みでゲーミフィケーションが取り入れられた例がある。ツイッターを使い、実際の電力メーターの消費数値を競い合う節電ゲームが、スマートフォン用のアプリとして登場して人気を集めた。また、電力会社のウェブサービスで、各家庭の節電量を可視化するウェブサービスが提供され、節電量を競い合ったり、節電に対する意識を高める効果をあげた。
[編集部]
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