コルベンハイヤー(英語表記)Erwin Guido Kolbenheyer

改訂新版 世界大百科事典 「コルベンハイヤー」の意味・わかりやすい解説

コルベンハイヤー
Erwin Guido Kolbenheyer
生没年:1878-1962

ドイツの作家。ブダペスト生れのいわゆる外地ドイツ人。生物学的・形而上学的な立場に立って,個人は種と民族に従属しなければならないことを説く。創作においては,中世的・教会的な羈絆を脱して進もうとする歴史上の人物が好んで取りあげられた。このような傾向からナチスに接近し,1933年以後はナチス文学の代表的作家の一人と自他ともに許すようになる。しかし,代表作と目される戯曲《ジョルダーノ・ブルーノ》(1903),長編小説《神を愛す》(1908),《パラケルスス》三部作(1917-26),哲学的著作《建築小屋》(1925)がいずれもナチス時代以前に書かれていることは注目されてよい。《神を愛す》と《生命の城Mont salvasch》(1912)は邦訳され,特に前者は第2次大戦中の日本で愛読された。全集戦前に8巻(1939-41),戦後に16巻(1956-73)が編集されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コルベンハイヤー」の意味・わかりやすい解説

コルベンハイヤー
こるべんはいやー
Erwin Guido Kolbenheyer
(1878―1962)

ドイツの作家、思想家。ブダペスト生まれ。ウィーン大学で哲学、自然科学、心理学を学ぶ。処女作の戯曲『ジョルダーノ・ブルーノ』(1903)、スピノザ主人公とする長編小説『神を愛す』(1908)、小説三部作『パラケルスス』(1917~26)など、正統的な思潮に抗する歴史上の異端者の孤独で悲劇的な生涯題材とする作品が多い。「民族生物学」なるもののうえに個人と集団の関係を意味づけようとする俗流形而上(けいじじょう)学的体系の書『建築小屋』(1925)にはナチズムとの内的親近性が歴然とみられ、異端者崇拝と相まって、ナチス時代の代表的な作家とされた。

池田浩士

『手塚富雄訳『神を愛す』(1953・筑摩書房)』

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