フランス文部省直轄の高等教育機関。フランソア1世が人文主義者のギヨーム・ビュデの進言を入れて,1530年3月,王立教授団という名の下に創設した。当初は5人の講師しかおらず,ヘブライ語(2人),ギリシア語(2人),数学(1人)を教えた。中世以来のスコラ学が支配するパリ大学に対抗して,大学のカリキュラムから締め出された古典語,自然科学を講じ,人文主義の思想を普及させることが主たる目的だった。大学からの圧力が及ばないように行政上の自治・独立を保証され,その後規模も拡大して,ラテン語,哲学,医学といった新しい教科が増えた。名称も変わり,大革命期の国民学院,ナポレオン時代の帝国学院をへて,第三共和政以後現在の呼称に落ち着いた。創立期の精神は今なお健在で,講義は無料で一般公開,受講に際しては登録手続がなく,したがって試験も行われず,免状も交付されない。教授はコレージュ教授団とフランス学士院の発議に基づいて国家元首が任命し,目下研究中のテーマをまったく自由に講ずることができる。つねに当代最高の学者が教壇に立ち,19世紀以降を見ても,エジプト学のシャンポリオン,聖書学のルナンをはじめ,ベルグソン,バレリーなど,そうそうたる顔ぶれである。1980年代に入ってからは,ギリシア学のジャン・ピエール・ベルナン,人類学のレビ・ストロース,哲学のミシェル・フーコーの講義が名高い。現在,教科は3種あり,数学・物理学・自然科学部門,哲学・社会学部門,歴史学・言語学・考古学部門に分かれる。50を超える講座には平均3000人の受講者があるが,一般公開にせよ講義内容はきわめて高度で,聴衆の大部分は学生や研究者であることが多い。なお,《コレージュ・ド・フランス年鑑》が刊行され,担当教授による講義内容の要旨が掲載されるならわしになっている。
執筆者:鷲見 洋一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
1530年に,フランス・ルネサンスの擁護者として知られるフランソワ1世が,人文学者ギョーム・ビュデの提議を受けて設立した高等教育・研究機関。神学中心であった当時の大学に対して,人文主義をはじめとしてより開かれた学問を行う場として構想され,「あらゆることを教える」をモットーとする。今日57の講座が設けられ,その学問領域は理系,文系の幅広い領域にわたる。たとえば数学者が歴史学者の後継者となるように,講座は固定的ではなく,教授会によって最も望ましいとされる分野・人物が選ばれる。こうして,学術の発展に応じた形での組織運営がなされている。近年は,時代の変化に応じる新たな試みとして,毎年担当者が代わる「年次講座(フランス)」も導入されている。政体の変遷に応じてコレージュ・ロワイヤル(フランス),コレージュ・アンペリアル(フランス)と呼称は変化したが,1870年以降は現在の名で呼ばれている。講義は公開・無料で,試験や学位の授与は行われない。
著者: 白鳥義彦
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新