「符号化・符号器」を意味するcoderと、その逆の手順である「復号」を意味するdecoderを合わせたことば。本来はアナログ信号をデジタル信号に変換し、またデジタル信号をアナログ信号に復元する装置やソフトウェア、そのための手順をさす。特定のデジタルデータから別のデジタルデータへの変換をさすこともある。近年ではデジタルデータを圧縮・伸張するためのプログラムやその規格をさすことが多く、その場合コーデックはcompression(圧縮)とdecompression(伸張)を組み合わせたことばが元になる。
デジタル携帯電話やIP電話などでは、音声というアナログデータをデジタル化しながらデータ圧縮(高能率符号化)を行い、ネットワーク経由で送った後に、もとのアナログの音声に戻すという手順を踏んでいる。その際の、アナログデータとデジタルデータ間での相互変換作業がコーデックになる。この場合は音声コーデックとよばれるが、静止画像を対象とする画像コーデック、動画を対象とするビデオコーデックなどがある。
コーデックとはあくまで変換や圧縮の形式のことで、ファイルフォーマットとは異なる。たとえば、Windows(ウィンドウズ)標準の動画ファイル形式であるAVI(エーブイアイ)には、映像コーデックと音声コーデックで作成されたそれぞれのデータが格納されており、AVIはそれらの容器の役割を果たしている。AVIは複数のコーデック形式に対応しているため、音声のデータ圧縮ではリニアPCM(ピーシーエム)、MP3(エムピースリー)、WMA(Windows Media Audio)(ダブリューエムエー、ウィンドウズメディアオーディオ)、AAC(エーエーシー)、RealAudio(リアルオーディオ)など、動画ではMPEG-1(エムペグワン)、MPEG-2、MPEG-4、WMV(Windows Media Video)(ダブリューエムブイ、ウィンドウズメディアビデオ)、H.264(エイチニロクヨン)、DivX(ディビックス)など、さまざまな形式が使われている。拡張子が同じ.aviの動画ファイルであっても、音声・動画の圧縮形式の組み合わせは、上記のように多岐にわたり、再生用アプリケーションがファイルに格納されているコーデックに対応していなければ、視聴することはできない。
[編集部]
◎音声コーデック
AC3 ドルビーラボラトリーズ社が開発。一般的にはドルビーサウンドとして知られる
リニアPCM 非圧縮で音楽CDなどで利用。高音質
WMA マイクロソフト社が開発し、Windowsなどに標準搭載。可逆、非可逆圧縮が選べる
MP3 MPEG-1の音声部分だけの圧縮規格。非可逆圧縮で、広く使われている
AAC MPEG-2やMPEG-4で採用されている非可逆の音声圧縮方式。MP3の後継とされ、複数の規格がある
ATRAC(アトラック) ソニーが開発し、MD(ミニディスク)などに採用された非可逆圧縮コーデック。ATRAC3(アトラックスリー)、ATRAC3plus(アトラックスリープラス)、ATRAC Advanced Lossless(アトラックアドバンストロスレス)など、複数のバージョンがある
Vorbis(ボルビス) おもにOgg(オッグ)ファイル(使用特許料不要の音声・動画用フォーマット)に使われる非可逆圧縮のコーデック。Ogg Vorbisともいう
G.729(ジーナナニキュー) ITU-T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)のGシリーズ勧告で規定された音声を対象とする非可逆圧縮コーデック。IP電話などで使われる
◎画像コーデック
GIF(ジフ) 256色まで対応した可逆圧縮方式
PNG(ピーエヌジー) GIFの後継で可逆圧縮方式
JPEG(ジェーペグ) もっとも使われている画像コーデック。可逆、非可逆方式がある
MH(エムエイチ) G3ファックス(ファクシミリ)で使われる可逆式の圧縮方式
◎ビデオコーデック
MPEG 動画像を高能率符号化してデータ圧縮するための国際標準方式。MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4などが一般的に使われる
H.264、H.263、H.261 ITU-TのHシリーズ勧告で規格化された国際規格
DV(ディーブイ) デジタルビデオに採用された非可逆式のコーデック
VP8(ブイピーエイト) グーグル社Googleが買収したOn2(オンツー)テクノロジー社開発のビデオコーデック技術。Vorbisと組み合わせたwebm(ウェブエム)ファイルとして利用する
DivX MPEG-4をベースとするビデオコーデック。AVIファイルに格納できることもあり、広く使われる
Xvid(エックスビッド) DivXから派生したオープンソースのビデオコーデック
出典 (株)朝日新聞出版発行「パソコンで困ったときに開く本」パソコンで困ったときに開く本について 情報
「CODEC」のページをご覧ください。
出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報
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