日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴウシュウマダイ」の意味・わかりやすい解説
ゴウシュウマダイ
ごうしゅうまだい / 豪州真鯛
silver seabream
red snapper
[学] Pagrus auratus
硬骨魚綱スズキ目タイ科マダイ亜科に属する海水魚。オーストラリアとニュージーランドの南半分の海域にのみ分布する。体は楕円(だえん)形で強く側扁(そくへん)する。頭の上部の外郭は出っ張り、大きな個体では目の上方で隆起する。両顎(りょうがく)の前部には上顎に4本、下顎に4~6本の肥大した犬歯がある。側部には2列のやや大きい臼歯(きゅうし)がある。眼隔域に鱗(うろこ)がある。背びれは強い12棘(きょく)と10~12軟条、臀(しり)びれは強い3棘と7~9軟条。最大全長は約1.3メートルであるが、普通は20~40センチメートル。体は背側面が赤褐色で、腹側面は銀白色。体の背側面に多数の小さい鮮青色点が散在する。各ひれは赤色または赤みを帯びる。水深10~150メートルの外洋の底層に生息する。晩春~夏に、成熟魚が深みから産卵のために接岸する。稚魚・幼魚は内湾や沿岸の浅所にいる。底生の棘皮動物、多毛類、軟体動物、甲殻類、魚類などを食べる。おもにトロール網で漁獲される。マダイのように刺身、吸い物、塩焼き、煮つけなどにする。マダイにきわめて類似するので、両種を同種Pagrus auratusとする研究者もいる。また、DNAの分析の結果、同種であるが亜種の差異が認められるとし、マダイをPagrus auratus major、ゴウシュウマダイをPagrus auratus auratusとして区別する研究者もいる。
[尼岡邦夫 2018年3月19日]