ゴゼンタチバナ(読み)ごぜんたちばな

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴゼンタチバナ」の意味・わかりやすい解説

ゴゼンタチバナ
ごぜんたちばな / 御前橘
[学] Cornus canadensis L.

ミズキ科(APG分類:ミズキ科)の小形の常緑多年草。高さ5~15センチメートルで細長い地下茎がある。葉は楕円(だえん)形で6枚が輪生状につく。花は7~8月、頂生する頭状花序に多数つき、白色。花序には4枚の白い花弁状の総包片がある。核果は赤く熟す。名は、発見地の石川県白山(はくさん)の御前峰(ごぜんみね)と、サクラソウ科カラタチバナに似た赤い果実にちなむ。北海道から本州の亜高山の針葉樹林下に生え、樺太(からふと)(サハリン)、千島カムチャツカ、朝鮮半島、北アメリカに分布する。近縁の別種エゾゴゼンタチバナC. suecica L.は葉が輪生状とならず、花が紫色を帯びる。北海道東部の平地に生える。分布域はゴゼンタチバナよりも広く、シベリア、ヨーロッパにも分布する。

[門田裕一 2021年3月22日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゴゼンタチバナ」の意味・わかりやすい解説

ゴゼンタチバナ(御前橘)
ゴゼンタチバナ
Cornus canadensis; bunchberry

ミズキ科の植物で,北半球冷温帯亜高山帯に広い分布をもつ。日本でも亜高山の針葉樹林下に普通にみられる。常緑の多年草であるが茎の下部は木化し,白色の地下茎が走る。対生した葉が6枚輪生状に集る。夏に,茎の頂部に1個の白い花序をつける。4枚の花弁のようにみえるのは総包片で,その中央に多数の小花が集って咲く。最初に発見された地名 (白山,御前ケ峰) と果実のつき方がタチバナに似ていることからこの名がついた。

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