ゴマウツボ(読み)ごまうつぼ(英語表記)yellowmargin moray

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゴマウツボ」の意味・わかりやすい解説

ゴマウツボ
ごまうつぼ / 胡麻鱓
yellowmargin moray
[学] Gymnothorax flavimarginatus

硬骨魚綱ウナギ目ウツボ科に属する海水魚。八丈島、高知県柏島(かしわじま)、種子島(たねがしま)、屋久島(やくしま)、小笠原(おがさわら)諸島南西諸島などのほかに、台湾南部・東北部、紅海、ハワイ、ガラパゴス諸島パナマなどインド洋・太平洋に広く分布する。体は頑丈で、大形になるウツボ。脊椎骨(せきついこつ)数は131~140。吻(ふん)は短くて鈍い。前鼻孔(ぜんびこう)は短い管状。後鼻孔は目の前縁上方よりやや後ろに開き、その縁辺は隆起する。目はおよそ上顎(じょうがく)の中央部の上方に位置する。上下両顎歯は部分的に2列に並び、じょうぶな三角形状で、長い犬歯状の歯はない。前上顎骨板上の外側に大きな5~6本の歯があり、その間は小さい歯で埋められている。普通は中央部に、顎骨と緩く関節しているため、押さえると倒すことができるじょうぶな歯が2本ある。主上顎骨歯は外列に9~18本あり、前の3~4本は大きい。内列歯は1~4本で、この歯も倒すことができる。鋤骨歯(じょこつし)(頭蓋(とうがい)床の最前端の骨にある歯)は7~13本。下顎歯は前方に2~4本の大きな歯と外列に多くの小さい歯があるが、外列歯は後方に向かって大きくなる。背びれ起部は上顎後縁上方よりも鰓孔(さいこう)の上方に近い。体は褐色で、小さい暗褐色または黒色斑点(はんてん)や斑紋で覆われる。各ひれの色は体と同じで、尾部の後部のひれの縁辺は明瞭(めいりょう)に淡くて、鮮黄色~鮮黄緑色。吻と下顎は暗色。鰓孔に際だった大きな黒点がある。体長は最大で123センチメートルになる。サンゴ礁環礁の浅所で見られるが、水深150メートルの記録がある。おもに魚類、カニ類など甲殻類を食べる。ハワイではダイバーたちに好んで食べられるが、大形魚ではときどきシガテラ中毒の報告がある。

[尼岡邦夫 2019年11月20日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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