サイバーテロ(読み)さいばーてろ(英語表記)cyber terrorism

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サイバーテロ」の意味・わかりやすい解説

サイバーテロ
さいばーてろ
cyber terrorism

インターネット上で行われるテロリズム警視庁サイバーテロ対策協議会では、以下のように説明している。「重要インフラストラクチャーの基幹システムに対する電子的攻撃または基幹システムにおける重大な障害で、電子的攻撃による可能性が高いもの」「一般的にはコンピュータ・システムに侵入し、データを破壊、改竄(かいざん)するなどの手段により、国家または社会の重要な基盤機能不全に陥れる行為」。

 インターネットを通じて個別のサーバー(データを送信する側)やパソコンに侵入して情報などを奪う行為である「サイバー攻撃」(クラッキング)の一種で、政治的な意図をもって大規模な破壊行為を行う場合をサイバーテロとよぶことが多い。攻撃対象は政府や大企業のシステムである。「アノニマス」とよばれる国際的なクラッキング集団の示威行動や、政府の機密情報を盗み出してそれを新聞社などに開示する「ウィキリークス」の活動をサイバーテロに含めることもある。中国人民解放軍がアメリカや日本の政府のシステムに組織的に繰り返し侵入するなど、実行者が国家機関の場合もあり、安全保障問題に直結するようになってきている。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サイバーテロ」の意味・わかりやすい解説

サイバーテロ
cyberterrorism

コンピュータおよびコンピュータネットワーク(サイバースペース〈電脳空間〉)におけるテロリズム警察庁は「重要インフラの基幹システムに対する電子的攻撃又は重要インフラの基幹システムにおける重大な障害で電子的攻撃による可能性が高いもの」と定義している。小規模で政治的意図をもたないものも含めてサイバー攻撃 cyberattackと呼ばれ,特に国家や軍隊主体となる場合にサイバー戦争 cyberwar; cyberwarfareなどの語も用いられる。今日世界的に,インフラストラクチャーや企業活動など,社会の多くの側面が情報技術に依拠しており,サイバーテロの及ぼす社会的な影響は甚大なため,安全保障上でも対応の重要性が高まっている。政府や地方公共団体,エネルギーや交通などインフラストラクチャー関連,金融機関や報道機関のシステムなどが攻撃されることが多い。手段としてはコンピュータウイルストロイ木馬スパイウェアワームなどマルウェアと呼ばれるソフトウェアによるものなどがあり,分散型サービス拒否攻撃(DDoS攻撃)と呼ばれる,マルウェアによって多数のコンピュータを乗っ取り,コンピュータの集合体(ボットネット)を構築して,標的のコンピュータを攻撃する手法も多く用いられる。サイバーテロは物理的テロに比して匿名性が高く,抑止が難しいとされる。国家規模のサイバー防衛機構のおもな要素は,ファイアーウォール,データの暗号化,ネットワーク侵入者の探知,設備機器の物理的安全確保,ネットワーク利用者の訓練と監視などである。(→コンピュータセキュリティコンピュータ犯罪

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