サジオモダカ(読み)さじおもだか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サジオモダカ」の意味・わかりやすい解説

サジオモダカ
さじおもだか / 匙面高
[学] Alisma plantago-aquatica L. var. orientale Sam.

オモダカ科(APG分類:オモダカ科)の抽水性多年草種子または塊茎で越冬する。葉は根生し、幼葉はやや披針(ひしん)形、成葉は卵状楕円(だえん)形で匙(さじ)状、長さ5~10センチメートル、幅2~5センチメートル、5~7条の顕著な葉脈がある。名は、成葉の形による。6~10月、高さ0.5~1.5メートルの花茎に複総状花序をなし、ヘラオモダカに似た花を開く。痩果(そうか)は扁平(へんぺい)倒卵形で縁(へり)に翼片がなく、背面に2本の浅い縦溝がある。池沼や水湿地に群生し、北海道から本州北部、およびアジア北東部に分布する。

[大滝末男 2018年9月19日]

薬用

漢方では塊茎を沢瀉(たくしゃ)といい、利尿、解熱剤として浮腫(ふしゅ)、下痢、口渇、めまい、淋病(りんびょう)などの治療に用いる。日本では長野県、北海道で少量が栽培されることもあるが、中国では四川(しせん)省、福建省を中心に、広大な面積をもって栽培される。中国産は品質がよいので有名である。なお、薬用では昔から沢瀉をオモダカと訓じているが、これは誤りである。

[長沢元夫 2018年9月19日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サジオモダカ」の意味・わかりやすい解説

サジオモダカ(匙面高)
サジオモダカ
Alisma plantago-aquatica var. orientale

オモダカ科の多年草で,アジア東部の温帯に分布する。沼や浅い水中に生える。8~9月に,大きな円錐花序を出し白色小花をつける。オモダカ同様3枚ずつの外花被片と内花被片があるが,おしべは6本,めしべは多数ある。利尿・止渇剤として用いられる。葉の形がさじに似ているため,この名がある。

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世界大百科事典(旧版)内のサジオモダカの言及

【オモダカ(沢瀉)】より

…東アジアからオーストラリアにかけて広く分布し,日本では全国の浅い池や水湿地に生育し,ときに水田雑草となる。ヘラオモダカに似て葉が少し広く楕円形になるサジオモダカA.plantagoaquatica L.var.orientale Samuels.も種としてはユーラシアからオーストラリアやアフリカまで広く分布する。この塊茎を漢方では沢瀉(たくしや)と呼び,デンプン,精油,アルカロイド性物質,脂肪油,コリン,トリテルペノイドを含む。…

※「サジオモダカ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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