サムライアリ(読み)さむらいあり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サムライアリ」の意味・わかりやすい解説

サムライアリ
さむらいあり / 侍蟻
[学] Polyergus samurai

昆虫綱膜翅(まくし)目アリ科に属する昆虫。日本各地に分布し、おもに草地や裸地に生息する。働きアリは体長5、6ミリメートルで、体は黒褐色。一見クロヤマアリに似ているが、本種は大あごが鎌(かま)状であり容易に区別できる。奴隷狩りを行うアリとして有名。7、8月に隊列をなしてクロヤマアリの巣を襲い、蛹(さなぎ)や幼虫を略奪して自巣に持ち帰る。羽化したクロヤマアリはサムライアリの巣で労働に携わるが、サムライアリは奴隷狩り以外の仕事は行わない。

[山内克典]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サムライアリ」の意味・わかりやすい解説

サムライアリ
Polyergus samurai

膜翅目アリ科。職蟻は体長 5mm内外,全体黒褐色であるが,灰白色の絹様光沢のある微毛におおわれる。大腮は細長く鎌状。腹柄は1節で厚く,丸みがあり,腹部はやや三角形状で後方へせばまる。女王は体長 7mm内外,翅は白く,翅脈淡褐色。職蟻に似て強壮である。雄は体長 5mm内外で,肢,翅,触角などが白い。本種はクロヤマアリ Formica fuscaを奴隷として生活し,営巣や幼虫の保育などをさせる。7~8月頃職蟻が列をなしてクロヤマアリの巣を襲って奴隷狩りをし,幼虫や蛹を奪うが,このとき以外は巣外に出ない。ヨーロッパのアマゾンアリ P. rufescensは本種と同属で,奴隷使役蟻として有名である。

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