クロヤマアリ(その他表記)Formica japonica

改訂新版 世界大百科事典 「クロヤマアリ」の意味・わかりやすい解説

クロヤマアリ
Formica japonica

膜翅目アリ科の昆虫。働きアリの体長は5~6mm,全体に黒色で短い軟毛を密生しているので光沢のない灰黒色を呈する。日当りのよい場所の地中に営巣し,巣は地下3m近くにまで達するものがあり,大きな巣では働きアリの数は数千匹となる。人家の周辺でもふつうに見られ,北海道から九州にまで分布し,国外ではシベリア東部,サハリン,中国,朝鮮半島および台湾の山地にも生息する。本州の中部では海岸地帯から山地にまで分布し,標高1500m付近でヤマクロヤマアリF.lemaniと入れかわるが,両種の分布境界は非常にはっきりしている場合が多く,動物の垂直分布の境界がもっとも明りょうなものの一例である。おもに昼間活動し,小動物を巣にもち帰るほか,アブラムシの排出液や花のみつを集める。羽アリは7月ころ,日中に婚姻飛行を行う。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロヤマアリ」の意味・わかりやすい解説

クロヤマアリ
くろやまあり / 黒山蟻
[学] Formica japonica

昆虫綱膜翅(まくし)目アリ科に属する昆虫。日本各地および朝鮮半島、中国などに分布する。体長は働きアリで約5ミリメートル、女王で10ミリメートルぐらい。体は黒褐色で、体全体は軟毛で覆われ、剛毛がまばらに生える。もっとも普通にみられるアリで、裸地や草地土中深く巣をつくる。アブラムシの甘露(蜜(みつ))をなめるために、それを保護するが、肉食性(おもに昆虫の死骸(しがい)などを食べる)も強い。羽アリは7、8月に飛び出す。近縁種にハヤシクロヤマアリ、ヤマクロヤマアリ、タカネクロヤマアリがいるが、それぞれ平地の林地、亜高山帯、2500メートル以上の高山帯にすみ分けている。

[山内克典]


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百科事典マイペディア 「クロヤマアリ」の意味・わかりやすい解説

クロヤマアリ

膜翅(まくし)目アリ科の昆虫の1種。体長5mm,女王は10mm内外,黒色,多少茶色を帯びる。日本全土,朝鮮,中国〜シベリアを経てヨーロッパに分布。どこにでもいる種類で,乾燥した土中に営巣し,有翅虫(羽アリ)は7〜8月に現れるが,一時に多数が飛び出すことがない。
→関連項目アリ(蟻)サムライアリ

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「クロヤマアリ」の解説

クロヤマアリ
学名:Formica japonica

種名 / クロヤマアリ
目名科名 / ハチ目|アリ科
解説 / 乾燥した日当たりのよい場所の地中に巣をつくります。
体の大きさ / 働きアリ4~6mm
分布 / 北海道~九州
成虫出現期 / 3~11月

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世界大百科事典(旧版)内のクロヤマアリの言及

【アリ(蟻)】より

…アミメアリは石や倒木,落葉の下の隙間などを巣として利用し,ときどき巣を移転する。クロヤマアリ(イラスト)の巣は日当りのよい土地の地中につくられ,深さ2~3mの垂直な通路と多数の小部屋からなり,幼虫の成育する季節には地表に近い部分を横に広げ,巣口の数も増える(図)。ミツバアリはタケなどの根に沿って巣をつくり,固有のアリノタカラカイガラムシを飼養して平常は地上に出てこない。…

※「クロヤマアリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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