サラリーマン金融(読み)さらりーまんきんゆう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サラリーマン金融」の意味・わかりやすい解説

サラリーマン金融
さらりーまんきんゆう

一般給与所得者向けの小額無担保短期の金銭融資業務をいう。現在の消費者金融事業の先駆けともいえ、利用者がサラリーマン(給与所得者)中心であったことから、1970年代にはそうよばれた。しかし、1970年代後半には、「高金利、過酷な取立て、過剰融資(3K)」で、借り手の蒸発や一家離散、自殺等が社会問題化し、「サラ金地獄」とよばれた。そのため、いまでも消費者金融をサラ金と蔑称(べっしょう)的によぶこともある。前記の3K問題は繰返し注目され、近年では、返済のために借金を重ねて、過剰債務に陥る多重債務者問題とよばれている。2006年(平成18)の貸金業規制法改正(改正に伴い貸金業法に改称)の主要目的の一つはこの多重債務者の救済にあるといわれている。

[晝間文彦]

『渋谷隆一編『サラリーマン金融の実証的研究』(1979・日本経済評論社)』『上田昭三著『個人ローンの実態と展望』(1981・東洋経済新報社)』『伊東眞一著『消費者金融システム論』(2000・晃洋書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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