ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サリー県」の意味・わかりやすい解説 サリー〔県〕サリーSurrey イギリス,イングランド南東部の県。グレーターロンドンの南に接し,県庁舎はグレーターロンドンのキングストンアポンテムズにある。1889年に今日のウォンズワス,サザーク,ランベスがロンドンの新行政区に取り込まれ,1965年にキングストンアポンテムズ,クロイドン,サットン,マートン,リッチモンドアポンテムズがグレーターロンドンの一部となって分離した。大部分は低地からなるが,白亜のノースダウンズ丘陵が中央部を東西に延び,北のロンドン盆地と南のウィールド地方を分ける。北端部をテムズ川が横切り,ここに県を北流するウェー川,モール川が注ぐ。旧石器時代から鉄器時代にいたる遺物や遺跡は県内各地で発見されているが,ローマ時代のものは少なく,ノースダウンズ丘陵の南麓,北麓に沿って住居跡がみられる程度である。アングロ・サクソン時代の影響は多くの地名に残り,県名もサクソン語で「南の地方」を意味する。中世には牧羊が盛んとなり,16世紀までにはギルフォード,ゴドルミングなどで毛織物工業が発展。17世紀半ば,ギルフォードより下流のウェー川が運河化され,この地方に産する木材,鉄,火薬,穀物,園芸作物などのロンドンへの輸送が容易になった。その後鉄道・道路網の発達に伴ってロンドンとの結びつきがさらに強まり,20世紀にはロンドンの郊外住宅地区,レクリエーション地区としても発展。農業は今日も重要で,オオムギ,カラスムギなどの栽培を中心に,酪農,近郊農業などが盛ん。面積 1663km2。人口 107万5500(2005推計)。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by