日本大百科全書(ニッポニカ) 「サルハムシ」の意味・わかりやすい解説
サルハムシ
さるはむし / 猿金花虫
猿葉虫
昆虫綱甲虫目ハムシ科のサルハムシ亜科Eumolpinaeに属する昆虫の総称。世界各地に産するが、熱帯域に多く、かなり多数の種が知られており、日本にも50種近くが分布している。体は一般にずんぐりして幅広く、背面は強く膨らみ、前胸は側縁がなく、上ばねは肩が張っていて前胸の後部より幅が広い。金属色を帯びた種類が多く、美しい色彩のものも少なくない。成虫は草や木の葉を食べており、幼虫は主として地中に潜って植物の根を食害する。
日本に産する種類には、ブドウの害虫とされている美麗なアカガネサルハムシAcrothinium gaschkevitchi、サツマイモの葉につくイモサルハムシColasposoma dauricum、スギの苗木を枯らすウスイロサルハムシ(スギハムシ)Basilepta pallidulum、ダイズなどを害するヒメキバネサルハムシPagria signataなど、農林業の害虫として注意されるものも含まれており、ほかにもヒトミヒメサルハムシCleoporus variabilis、アオガネヒメサルハムシNodina chalcosoma、トビサルハムシTrichochrysea japanaなど果樹の葉を食べていた記録のあるものがある。これらのほか、ハンノキを食べるチャイロサルハムシBasilepta balyi、クルミの木に多いリンゴコフキハムシLypesthes ater、ヨモギなどにみられるアオバネサルハムシBasilepta fulvipesなどが普通の種であるが、金属色の種には沖縄諸島のオキナワオオルリハムシPlatycorynus japonicus、ツツサルハムシAbirus fortunei、南九州のミドリサルハムシColaspoides japanaがある。
[中根猛彦]