デジタル大辞泉
「狭い」の意味・読み・例文・類語
せば・い【▽狭い】
[形][文]せば・し[ク]《「せまい」の古形》「せまい」に同じ。
「此辺は道幅が―・いので」〈二葉亭・浮雲〉
「抜きみだる人こそあるらし白玉の間なくも散るか袖の―・きに」〈古今・雑上〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
せま・い【狭】
- 〘 形容詞口語形活用 〙
[ 文語形 ]せま・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「せばい」の変化したもの ) - ① 空間の余裕がなく小さい。広くない。また、物と物との間隔、幅が小さい。
- [初出の実例]「琴〈略〉 天地四方也前広後狭(セマシ)」(出典:前田本下学集(室町末))
- 「かやり火に寐所せまくなりにけり〈杏雨〉」(出典:俳諧・曠野(1689)三)
- ② 範囲が小さい。範囲が限られている。
- [初出の実例]「支那人が詩と云ひ本邦人が歌と云ふもの極めて狭(セマ)き意にして広意のポエトリイと同じからねば」(出典:詩辨(1891)〈内田魯庵〉)
- ③ ものの見方、考え方にゆとりがない。度量が小さい。視野などがひらけていない。
- [初出の実例]「せまへ事をいふのウ、何んぼ此土地だって」(出典:洒落本・寸南破良意(1775)髪結)
- 「どうもそれでは、考が狭(セマ)いやうだ」(出典:吃逆(1912)〈森鴎外〉)
狭いの語誌
上代には「せまし」「せばし」は見えず、「せし」「さし」が用いられている。「せし」と「さし」とは、アクセントに問題はあるが、母音交替した語だとされる。「さし」は語幹用法が多く、形容詞としての用例は少ない。「せし」も上代は「…もせに」の形だけで、中古には「ところせし」という複合形で用いられるだけである。形容詞としては「せばし」が広く用いられたが、次第に「せまし」にとって代わられる。
狭いの派生語
せま‐が・る- 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
狭いの派生語
せま‐げ- 〘 形容動詞ナリ活用 〙
狭いの派生語
せま‐さ- 〘 名詞 〙
せば・い【狭】
- 〘 形容詞口語形活用 〙
[ 文語形 ]せば・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「せまい(狭)」の古い形 ) - ① =せまい(狭)①
- [初出の実例]「山
高(さか)しくして谿隘(セハケレ)ば守りて攻め難き故なり」(出典:日本書紀(720)天智元年一二月(北野本訓)) - 「登花殿の御前は立蔀ちかくてせばし」(出典:枕草子(10C終)一八四)
- 「せばきところに老母をやしなひて」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)夏)
- ② =せまい(狭)②
- [初出の実例]「すべて御心せばくおもほせばなりけり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)
狭いの派生語
せば‐が・る- 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
狭いの派生語
せば‐げ- 〘 形容動詞ナリ活用 〙
狭いの派生語
せば‐さ- 〘 名詞 〙
狭いの派生語
せば‐み- 〘 名詞 〙
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 