狭い(読み)セマイ

デジタル大辞泉 「狭い」の意味・読み・例文・類語

せま・い【狭い】

[形][文]せま・し[ク]《「せばい」の音変化》
面積が小さい。空間に余裕がない。「視界が―・い」「―・い部屋」⇔広い
間隔に余裕がない。幅が小さい。「―・い道」「入り口が―・い」⇔広い
範囲が限られている。広がりが少ない。「交際が―・い」「知識が―・い」⇔広い
ものの見方考え方がかたよりがあって融通がきかない。度量が小さい。「視野が―・い」「心が―・い」⇔広い
[派生]せまさ[名]
[類語](1)(2狭苦しいせせこましいきつい手狭てぜま狭小狭隘きょうあい狭窄きょうさく窮屈偏狭猫のひたい手狭い猫額びょうがく所狭い方寸尺寸せきすん寸土立錐の地ナロー

せば・い【狭い】

[形][文]せば・し[ク]《「せまい」の古形》「せまい」に同じ。
「此辺は道幅が―・いので」〈二葉亭浮雲
「抜きみだる人こそあるらし白玉の間なくも散るか袖の―・きに」〈古今・雑上〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「狭い」の意味・読み・例文・類語

せま・い【狭】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]せま・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「せばい」の変化したもの )
  2. 空間の余裕がなく小さい。広くない。また、物と物との間隔、幅が小さい。
    1. [初出の実例]「琴〈略〉 天地四方也前広後狭(セマシ)」(出典:前田本下学集(室町末))
    2. 「かやり火に寐所せまくなりにけり〈杏雨〉」(出典:俳諧・曠野(1689)三)
  3. 範囲が小さい。範囲が限られている。
    1. [初出の実例]「支那人が詩と云ひ本邦人が歌と云ふもの極めて狭(セマ)き意にして広意のポエトリイと同じからねば」(出典:詩辨(1891)〈内田魯庵〉)
  4. ものの見方、考え方にゆとりがない。度量が小さい。視野などがひらけていない。
    1. [初出の実例]「せまへ事をいふのウ、何んぼ此土地だって」(出典:洒落本・寸南破良意(1775)髪結)
    2. 「どうもそれでは、考が狭(セマ)いやうだ」(出典:吃逆(1912)〈森鴎外〉)

狭いの語誌

上代には「せまし」「せばし」は見えず、「せし」「さし」が用いられている。「せし」と「さし」とは、アクセントに問題はあるが、母音交替した語だとされる。「さし」は語幹用法が多く、形容詞としての用例は少ない。「せし」も上代は「…もせに」の形だけで、中古には「ところせし」という複合形で用いられるだけである。形容詞としては「せばし」が広く用いられたが、次第に「せまし」にとって代わられる。

狭いの派生語

せま‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙

狭いの派生語

せま‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

狭いの派生語

せま‐さ
  1. 〘 名詞 〙

せば・い【狭】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]せば・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「せまい(狭)」の古い形 )
  2. せまい(狭)
    1. [初出の実例]「山(さか)しくして谿隘(セハケレ)ば守りて攻め難き故なり」(出典:日本書紀(720)天智元年一二月(北野本訓))
    2. 「登花殿の御前は立蔀ちかくてせばし」(出典:枕草子(10C終)一八四)
    3. 「せばきところに老母をやしなひて」(出典:俳諧・続猿蓑(1698)夏)
  3. せまい(狭)
    1. [初出の実例]「すべて御心せばくおもほせばなりけり」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)

狭いの派生語

せば‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙

狭いの派生語

せば‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

狭いの派生語

せば‐さ
  1. 〘 名詞 〙

狭いの派生語

せば‐み
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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