サンサルバドル(読み)さんさるばどる(英語表記)San Salvador

翻訳|San Salvador

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サンサルバドル」の意味・わかりやすい解説

サンサルバドル
San Salvador

エルサルバドルの首都。また同名県の県都。同国中西部,サンサルバドル火山南東麓,標高約 680mの山間盆地にある。 1525年現在地の北東約 30kmの地にスペイン人が建設,1528年現在地に移転。快適な気候と肥沃な土壌に恵まれ,スペイン植民地時代にはクスカトラン地方の首都,1834年からは中央アメリカ連邦の首都として繁栄。同連邦の崩壊に伴って 1839年エルサルバドルの首都となった。金融,商工業の中心地で,主要工業は織物,縫製,皮革,木材加工,酒類たばこ食肉など。市街はたび重なる地震で破壊されたため,植民地時代の面影を残さない近代的都市に変貌。市内にはエルサルバドル大学 (1841) ,国立博物館,科学工業博物館,劇場,図書館などがあり,エルサルバドルの文化中心地となっている。また交通の要地で,パンアメリカン・ハイウェー,幹線鉄道が通るほか,市から国内各地に放射状に道路が延び,東郊のイロパンゴ湖の近くに国際空港がある。近年近郊の都市化が急速に進み,メヒカノス,デルガド,サンマルコスなどの衛星都市ができている。 1980年代の内戦によって難民が流入,人口が急激に増加した。人口 31万6090(2007)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「サンサルバドル」の意味・わかりやすい解説

サン・サルバドル
さんさるばどる
San Salvador

中央アメリカ、エルサルバドルの首都。同国の中西部、サン・サルバドル火山東麓(とうろく)の標高698メートルに位置する。人口42万2570(1992センサス)、49万6000(2002推計)。大都市圏人口152万2126(1992センサス)。熱帯に属しながら年平均気温は23.3℃で、気候は温暖である。1525年、コルテスの部下アルバラードにより建設されたが、1854年の大地震をはじめたびたびの地震で破壊され、1934年に近代都市として再建された。東方13キロメートルのイロパンゴ国際空港に向かう郊外には、1960年代の工業化に伴って建設された化学、石油、電気などの近代的工場がある。南西37キロメートルに外港のラ・リベルタードがある。中米統合機構(SICA)常設事務局の所在地で、中央アメリカ諸国の中枢的役割を果たしてきたが、79年以後、92年の和平協定締結まで、内乱による混乱状態にあった。市内には市の全貌(ぜんぼう)が展望できるバルボア公園、メルセド寺院、エルサルバドル国立大学、マヤ文明遺跡のコレクションで知られる国立博物館がある。また東方15キロメートルにあるイロパンゴ湖は観光地として有名。

[栗原尚子]

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