シアター・ギルド(読み)しあたーぎるど(英語表記)Theatre Guild

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シアター・ギルド」の意味・わかりやすい解説

シアター・ギルド
しあたーぎるど
Theatre Guild

アメリカの演劇制作集団。アメリカ小劇場運動の草分けワシントンスクエア・プレーヤーズWashington Square Players(1915~18)を前身として、1919年フィリップ・モイラーPhilip Moeller(1880ごろ―1958)らを中心に結成され、予約会員制をしいて、娯楽を旨とする商業演劇とは相いれない、芸術性の高い作品の上演を目ざした。バーナード・ショーらのヨーロッパ近代劇とエルマー・ライスなど自国の若手作家の作品の上演を通して高い評価を得、25年にはギルド劇場Guild Theatreを開場以後、ユージン・オニールらの実験的作品の紹介、ヒット作の地方巡演など多彩な活動を展開して、アメリカ演劇界を代表する存在となった。31年にハロルド・クラーマンリーストラスバーグらが独立してグループ・シアターGroup Theatre(1941年に解散)を設立したこともあり、1930年代以降は当初の先鋭性は薄まったが、『オクラホマ!』(1943)など40年代に至るまでアメリカ演劇史に残る数多くの舞台を生み出した。

[一ノ瀬和夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シアター・ギルド」の意味・わかりやすい解説

シアター・ギルド
Theatre Guild

アメリカ合衆国劇団。小劇場運動の代表的劇団であったワシントン・スクエア・プレーヤーズ (1914~18) が発展解消をとげ,1919年に設立。ヨーロッパやアメリカの新しい劇作家の作品を上演し,興行的にも成功。1925年には専有の劇場を開場,1920年代アメリカ演劇の発展に貢献した。1931年に分裂して,グループ・シアターが独立してから,しだいに劇団としての活動は衰退し,プロデュース団体となる。1943年ミュージカル史上を画する名作『オクラホマ!』Oklahoma!を成功させた。劇場は 1950年アメリカ国民演劇およびアカデミー ANTAの所有となり,さらに 1981年再び売却され,バージニア劇場と改称された。

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百科事典マイペディア 「シアター・ギルド」の意味・わかりやすい解説

シアター・ギルド

米国の演劇団体。1919年創設。初期の小劇場運動に貢献したワシントン・スクエア・プレーヤーズが前身。ヨーロッパの近代劇や米国の新しい劇作家などの,非商業主義的な戯曲を紹介。ギルド劇場を設立したが,1930年代に不振になって劇場を手放した。第2次大戦後はプロデュース団体として存続。
→関連項目ストラスバーグ

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世界大百科事典(旧版)内のシアター・ギルドの言及

【アメリカ演劇】より

…しかし,文学としての戯曲を作ろうとしたオニールの努力そのものは決して軽視できない。また,1919年に創設されたシアター・ギルドTheatre Guild,31年にH.E.クラーマン,L.ストラスバーグらが結成したグループ・シアターGroup Theatreなどの団体が,G.B.ショー,イプセン,ストリンドベリらの外国の作品や,オニール,W.サローヤン,C.オデッツなどの自国作家の新作を意欲的に上演して,アメリカ演劇の水準を高めようとしたことも記憶されてよい。 こうして1920年代から40年代にかけてのアメリカには,すぐれた劇作家が相次いで登場した。…

【ニューヨーク】より

… 演劇は,早くからニューヨーク文化の重要な要素として,ブロードウェーを中心に発達,すでに植民地時代の1735年,ブロードウェーに芝居小屋があったという記録がある。しかしニューヨークの演劇が真に優れた演劇性を獲得したのは,1920~30年代で,それはおもに,G.B.ショーやオニールを含むヨーロッパおよびアメリカの新しい劇作家を紹介した〈シアター・ギルドTheatre Guild〉というグループの活躍に負うところが多い。グループはまた,ラント夫妻のような名優も多く育てた。…

※「シアター・ギルド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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