シクロペンタン(その他表記)cyclopentane

改訂新版 世界大百科事典 「シクロペンタン」の意味・わかりやすい解説

シクロペンタン
cyclopentane



5員環の炭化水素。常温で無色可燃性液体融点-93.46℃,沸点49.26℃。1 ,4-ジブロモブタンとマロン酸ジエチルとをナトリウムエトキシドの存在下に反応させて得られる1,1-シクロペンタンジカルボン酸ジエチルを,加水分解脱炭酸してシクロペンタンカルボン酸とし,さらにこれを脱炭酸して合成する。

 最も安定配座は,下図のように4個の炭素原子が同一平面上に並び,残りの1個の炭素原子がその面の外に位置した〈封筒形〉と呼ばれる配座である。面外の炭素原子が面の上か下か,また,どの炭素原子が面外になるかによって合計10通りの互いに区別できない封筒形ができ,これらは高速で相互に変換している。


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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「シクロペンタン」の意味・わかりやすい解説

シクロペンタン
しくろぺんたん
cyclopentane

シクロアルカンの一つ。ペンタメチレンともいう。無色、可燃性の液体。石油原油中に存在する。石油エーテルガソリン部分から精密分留によって入手するほかシクロペンタジエン接触還元により合成できる。オクタン価は85と高く、ガソリンの成分として有用である。シクロパラフィン(シクロアルカン)のうちシクロヘキサンとともにもっとも安定な化合物である。セルロースエーテル溶媒として使われる。

[向井利夫]


シクロペンタン(データノート)
しくろぺんたんでーたのーと

シクロペンタン

 分子式 C5H10
 分子量 70.1
 融点  -93.46℃
 沸点  49.26℃
 比重  0.74538(測定温度20℃)
 屈折率 (n) 1.4094

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「シクロペンタン」の解説

シクロペンタン
シクロペンタン
cyclopentane

C5H10(70.13).ガソリンの精密分留によって得られるが,ペンタンの高温脱水素環化によっても合成される.無色の液体.融点-94 ℃,沸点49.3 ℃.シクロパラフィン中ではもっとも安定である.[CAS 287-92-3]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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