日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニホンリス」の意味・わかりやすい解説
ニホンリス
にほんりす / 日本栗鼠
Japanese squirrel
[学] Sciurus lis
哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目リス科の動物。ホンドリスともいう。本州、四国、九州の平地から高山帯までの針葉樹林、内部に針葉樹を含む雑木林に生息する。体長15~22センチメートル、尾長13~17センチメートル。体色は、冬毛では暗褐色または黄褐色で、腹面と尾の先端は白色、耳の先端に毛の房を生じる。夏毛は、背側が淡黒褐色からセピア、腹側は白色、頸(くび)、体側、四肢は橙(とう)褐色をしている。ほぼ完全な樹上生活者で、樹上を細かくすばやいギャロップで滑るように敏捷(びんしょう)に動き回る。周囲が薄暗い針葉樹林内の樹上の幹と枝の間に、直径40~50センチメートルの楕円(だえん)形の巣をつくり、つがいですむ。巣は、外側が小枝で組み立てられ、内側にはスギなどの樹皮を細かく裂いた巣材が敷かれる。日中、とくに早朝に活動し、ハシバミやクルミなどの堅果のほか、種子、果実、芽、昆虫などを食べる。夏から秋にかけては堅果や種子を頻繁に地上に運び、穴を掘って埋める。貯蔵場所は大まかに記憶しておき、食物の不足する冬になると、個々の実をにおいで捜し当て、掘り出して食べる。4~6月に1産2~6子を産む。天敵はキツネ、テンなどである。やや大形の北海道のエゾリス(キタリスの亜種)に姿が似ており、以前は同種とされたが、近年別種とされるようになった。
[今泉吉晴]