ショーボート(読み)しょーぼーと(その他表記)showboat

翻訳|showboat

デジタル大辞泉 「ショーボート」の意味・読み・例文・類語

ショーボート(showboat)

小さい舞台を備え、河川・湖などを回遊して、客に演芸を見せた汽船ミシシッピ川のものが有名であった。

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精選版 日本国語大辞典 「ショーボート」の意味・読み・例文・類語

ショー‐ボート

  1. 〘 名詞 〙 ( [アメリカ] showboat ) 船内に舞台があって、河川や湖などを回遊しながら客に演芸を見せるように造られた汽船。一九世紀のアメリカ、特にミシシッピ川で流行した。演芸船。〔モダン用語辞典(1930)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ショーボート」の意味・わかりやすい解説

ショーボート
しょーぼーと
showboat

劇場船、興行船と訳される。アメリカのミシシッピ川を上下する船中でショーを見せることを目的に運航されたもので、娯楽設備の発達していなかった1800年代に流行した。1810年代のマイク・フィンクの船などが有名だが、本格的な最初のショーボートとされるのは31年に出現したウィリアム・チャップマン・シニアによるチャップマンズ・フローティング・シアターであった。51年には3400人収容の巨大なフローティング・サーカス・パレスも出現、南北戦争時には病院船としても使用された。南北戦争後、オーガスタス・バイロン・フレンチのニュー・センセーションと名づけた船が人気をよんだが、その後急速に衰微していった。

 この19世紀末のショーボートを舞台にしたミュージカル古典が、1927年12月にブロードウェーで幕を開けたジェローム・カーン作曲の『ショー・ボート』Show Boatで、現代まで繰り返し上演されている。女流作家エドナ・ファーバーの同名の小説(1926)により、台本作詞をオスカー・ハマースタインジュニアが担当した。ショーボートの船長アンディのひとり娘マグノリアと賭博(とばく)師ゲイロードの恋を中心に、歌手で黒人との混血女ジュリーが、白人の恋人との恋を官憲に圧迫されるという人種差別の悲劇を絡ませている。「あの人を愛さずにはいられない」「私のビル」「オール・マン・リバー」などの主要歌曲が有名で、1929年、36年、51年の3回ハリウッドで映画化された。

[青木 啓]

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改訂新版 世界大百科事典 「ショーボート」の意味・わかりやすい解説

ショーボート
showboat

アメリカで,舞台設備をもち芸人を乗せて川沿いの町を巡業した船。1815年,ドレークSamuel Drakeの劇団ピッツバーグからオハイオ,ミシシッピ両河を下ってニューオーリンズまで興行したのが最初という。その後20世紀の初頭まで,両河をはじめ,その他の西部の川で栄えた。しばしばそれ専用に作られた豪華な蒸気船を用い,メロドラマ,ミンストレル・ショー,ボードビルなど,多彩なショーを見せ,田舎の人たちを楽しませた。E.ファーバーの小説《ショー・ボート》(1926)は,ショーボート一家3代の哀歓を綴り,ミュージカル(J.カーン作曲)や映画にもなっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ショーボート」の意味・わかりやすい解説

ショー・ボート
Show Boat

アメリカのミュージカル。 E.ファーバーの同じ題名の小説から O.ハマースタイン 2世が脚色,作詞。作曲 J.カーン。 1927年ジーグフェルド劇場で初演。 1880年代から 1920年代にいたるまでのミシシッピ川の歴史とそれをめぐる人々の生活の哀歓を,ショー・ボートを背景に描いた作品。叙事詩的内容と演劇的統一性をそなえており,アメリカのミュージカルの金字塔となった。 29,36,51年の3回にわたって映画化。

ショー・ボート
show boat

19世紀初頭から 20世紀初頭にかけておよそ 100年間,アメリカのミシシッピ,オハイオ川流域を巡演してまわった,劇場を備えた演芸船。出し物は演芸から演劇まで多岐にわたり,『アンクル・トムの小屋』などに人気があった。ミュージカル『ショー・ボート』 (1927) にはその世界が詳しく描かれている。

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デジタル大辞泉プラス 「ショーボート」の解説

ショーボート

1927年初演のミュージカル。原題《Show Boat》。脚本・作曲:オスカー・ハマースタイン2世、作曲:ジェローム・カーン。1880年代アメリカのミシシッピー川を行き来するショーボートの芸人たちを描く。1936年、1961年に映画化された。

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世界大百科事典(旧版)内のショーボートの言及

【カーン】より

…12年初演の《赤いペチコート》でブロードウェーに本格的なデビュー。代表作は27年初演の《ショー・ボートShow Boat》(作詞はハマースタイン2世)で,このミュージカルの中の《オール・マン・リバー》は,33年初演のミュージカル《ロバータ》の中の《煙が目にしみる》とともに名曲とされる。34年にハリウッドに移住し,映画音楽《今宵のきみは》で36年,《思い出のパリ》で41年のアカデミー主題歌賞を得た。…

【ジーグフェルド】より

…最大の呼びものは美女のコーラスで,I.ダンやP.ゴダードのように,ここから出て後年スターになった人が多い。《ショー・ボート》(1927)など,ミュージカルの制作も手がけた。【喜志 哲雄】。…

【ショーボート】より

…しばしばそれ専用に作られた豪華な蒸気船を用い,メロドラマ,ミンストレル・ショー,ボードビルなど,多彩なショーを見せ,田舎の人たちを楽しませた。E.ファーバーの小説《ショー・ボート》(1926)は,ショーボート一家3代の哀歓を綴り,ミュージカル(J.カーン作曲)や映画にもなっている。【亀井 俊介】。…

【ハマースタイン】より

…ミュージカルを単なる娯楽でなく,人生の重要な問題を扱った芸術にまで高めようと努力したことで知られる。1920年代初めから仕事をしていたが,彼が脚色,作詞した27年の《ショー・ボート》(作曲J.カーン,原作E.ファーバー)は,リアリスティックな台本をもったアメリカ最初のミュージカルとして重要である。彼の特色は文学性を重視した台本,わかりやすい詞,楽天的人生観にあるが,これらの傾向は作曲家リチャード・ロジャーズと組んだ仕事において最もよくあらわれた。…

【ファーバー】より

…中西部の農場で苦闘する未亡人とその息子を描いた《ソー・ビッグ》(1924)でピュリッツァー賞を獲得。ミシシッピ川のショー・ボートで成長する女性をヒロインとした《ショー・ボート》(1926),開拓期のオクラホマで激しく生きる男女を主人公とした《シマロン》(1930)などを続けて出し,こまかな社会観察と庶民の夢をひとつにした第一級のロマンス作家となった。1929年にミュージカル化されて画期的な成功を収めた《ショー・ボート》のほか,彼女の小説は映画化作品によってもよく知られる。…

【ミシシッピ[川]】より

…彼はミシシッピ川の蒸気船を舞台に人間たちが繰り広げる奇怪な仮面劇を描いた。また,この蒸気船(ショーボート)は華やかな社交・娯楽の世界,ショー・ビジネスの世界でもあり,それはエドナ・ファーバーの小説《ショー・ボート》にみごとに再現されている。 ミシシッピ川は奴隷として酷使された南部黒人にとっては心の故郷ともいうべき存在で,〈おやじの川Ol’ Man River〉として親しまれてきた。…

※「ショーボート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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