ショーボート(読み)しょーぼーと(英語表記)showboat

翻訳|showboat

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ショーボート」の意味・わかりやすい解説

ショーボート
しょーぼーと
showboat

劇場船、興行船と訳される。アメリカミシシッピ川を上下する船中でショーを見せることを目的に運航されたもので、娯楽設備の発達していなかった1800年代に流行した。1810年代のマイク・フィンクの船などが有名だが、本格的な最初のショーボートとされるのは31年に出現したウィリアム・チャップマンシニアによるチャップマンズ・フローティング・シアターであった。51年には3400人収容の巨大なフローティング・サーカス・パレスも出現、南北戦争時には病院船としても使用された。南北戦争後、オーガスタス・バイロン・フレンチのニュー・センセーションと名づけた船が人気をよんだが、その後急速に衰微していった。

 この19世紀末のショーボートを舞台にしたミュージカル古典が、1927年12月にブロードウェーで幕を開けたジェローム・カーン作曲の『ショー・ボート』Show Boatで、現代まで繰り返し上演されている。女流作家エドナ・ファーバーの同名の小説(1926)により、台本作詞をオスカー・ハマースタインジュニアが担当した。ショーボートの船長アンディのひとり娘マグノリアと賭博(とばく)師ゲイロードの恋を中心に、歌手黒人との混血女ジュリーが、白人恋人との恋を官憲に圧迫されるという人種差別悲劇を絡ませている。「あの人を愛さずにはいられない」「私のビル」「オール・マン・リバー」などの主要歌曲が有名で、1929年、36年、51年の3回ハリウッドで映画化された。

[青木 啓]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ショーボート」の意味・わかりやすい解説

ショー・ボート
Show Boat

アメリカのミュージカル。 E.ファーバーの同じ題名の小説から O.ハマースタイン 2世が脚色,作詞。作曲 J.カーン。 1927年ジーグフェルド劇場で初演。 1880年代から 1920年代にいたるまでのミシシッピ川の歴史とそれをめぐる人々の生活の哀歓を,ショー・ボートを背景に描いた作品。叙事詩的内容と演劇的統一性をそなえており,アメリカのミュージカルの金字塔となった。 29,36,51年の3回にわたって映画化。

ショー・ボート
show boat

19世紀初頭から 20世紀初頭にかけておよそ 100年間,アメリカのミシシッピ,オハイオ川流域を巡演してまわった,劇場を備えた演芸船。出し物は演芸から演劇まで多岐にわたり,『アンクル・トムの小屋』などに人気があった。ミュージカル『ショー・ボート』 (1927) にはその世界が詳しく描かれている。

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