シルベスター(読み)しるべすたー(その他表記)James Joseph Sylvester

精選版 日本国語大辞典 「シルベスター」の意味・読み・例文・類語

シルベスター

  1. ( James Joseph Sylvester ジェームズ=ジョセフ━ ) イギリス数学者ケーリーとともに線形代数の基礎を築く。渡米してジョンズ‐ホプキンズ大学教授となり、アメリカ数学界にも貢献。(一八一四‐九七

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シルベスター」の意味・わかりやすい解説

シルベスター
しるべすたー
James Joseph Sylvester
(1814―1897)

イギリスの数学者。ユダヤ人の息子としてロンドンに生まれる。ケンブリッジ大学に学び、数学の才をド・モルガンに認められロンドン大学に就職するが、アメリカに移民した兄を頼ってバージニア大学に移り、保険会社にいた兄に勧められて保険会計士になった。やがて1846年にケンブリッジ法学院に戻り、ロンドンで弁護士を開業、このときの同僚がケーリーであり、二人で線形代数を建設した。固有値や階数など線形代数の基本的概念はシルベスターによるといわれる。1855年に弁護士を辞めて陸軍士官学校教官、1870年の定年後は詩やチェスを楽しんでいたが、1875年、35年ぶりにアメリカに渡りジョンズ・ホプキンズ大学教授となった。69歳でイギリスへ戻ってオックスフォード大学教授になった。

[森 毅]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シルベスター」の意味・わかりやすい解説

シルベスター
Sylvester, James Joseph

[生]1814.9.3. ロンドン
[没]1897.3.15. ロンドン
イギリスの数学者。ケンブリッジのジョンズ・カレッジ卒業 (1831) 。ロンドンのユニバーシティ・カレッジ教授 (38) 。一時アメリカのバージニア大学の教授に招かれた (41) が,4年後ロンドンに帰り,保険会社の外交員や個人教授などをした (F.ナイチンゲールなども教えた) 。数学教師の職がなく,法律学校に学んで弁護士の資格を取る (50) 。イギリスの士官学校教授 (55~70) 。再びアメリカに渡ってジョンズ・ホプキンズ大学教授 (76~83) 。帰国してオックスフォード大学教授 (83) 。この間,A.ケーリーとともに,行列や代数的不変式の理論を確立した。彼はもともと代数学者であり,数論においてすぐれた研究を残した。彼の著作は力強い想像力と創意によって特徴づけられている。また彼はジョンズ・ホプキンズ大学時代に"American Journal of Mathematics"を創刊したことで知られる。著書は"The Collected Mathematical Papers of J. J. Sylvester" (4巻,1904~12) に収められている。

シルベスター
Sylvester, Joshua

[生]1563. ケント
[没]1618.9.28. オランダ,ミドルブルグ
イギリスの詩人翻訳家。フランスの宗教詩人デュ・バルタスの作品の翻訳『聖週間』 Divine Weeks and Works (1608完成) はミルトンの『失楽園』に影響を与えたことで有名。

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改訂新版 世界大百科事典 「シルベスター」の意味・わかりやすい解説

シルベスター
James Joseph Sylvester
生没年:1814-97

イギリスの数学者。ロンドンで生まれ,15歳のときリバプールの学校に移り,1831年にはケンブリッジのセント・ジョーンズ・カレッジ,37年にダブリンのトリニティ・カレッジで学んだ。翌年ロンドンの大学で教職を得,39年に25歳でローヤル・ソサエティの会員に選ばれた。以後,勤務先はいろいろ変わったが,やがてA.ケーリーと知り合うに至り,互いに数学的好影響を与え合うようになった。シルベスターの業績は不変式論,数論,方程式論,二次形式論など広い分野にわたるが,二つの方程式から一つの変数xを消去するのに,その方程式をxの方程式として整理し,その係数を用いた行列式による方法は,現在でもシルベスターの消去法として有名である。
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百科事典マイペディア 「シルベスター」の意味・わかりやすい解説

シルベスター

英国の数学者。1841年―1845年,1876年―1883年渡米して数学を教え,以後オックスフォード大学教授。代数学,整数論を研究,不変式論を開拓。

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