日本大百科全書(ニッポニカ) 「シロイワヤギ」の意味・わかりやすい解説
シロイワヤギ
しろいわやぎ / 白岩山羊
Rocky mountain goat
[学] Oreamnos americanus
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の動物。北アメリカのロッキー山脈、北緯44~65度の範囲にあるブリティッシュ・コロンビア、アルバータ、アイダホ、モンタナなどに分布する。ロッキーヤギまたシロカモシカともよばれる。頭胴長130~160センチメートル、肩高90~110センチメートル、体重80~140キログラム。体形は肩がこぶ状に高まり、腰のほうが低弱である。足は太くて頑丈。角(つの)は雌雄ともにあり、最長29センチメートルで後方に曲がりサーベル状。角の後方に1対の腺(せん)があり、眼下腺と蹄間(ていかん)腺は退化する。被毛は黄白色で、夏毛は短く、冬毛は長く垂れ下がり、下毛は密な羊毛状となる。鼻境、角、ひづめは黒い。雌雄ともあごひげがある。高山性で、森林限界上部の岩石地帯に2~20頭ぐらいの小群で生活し、岩登りが巧みである。蘚苔(せんたい)類、地衣類をはじめ草や低木の枝などを主食とする。繁殖期は4月から5月ごろで、1産1~2子を産む。妊娠期間約147日。ピューマ、オオカミなどが幼獣を襲うが、最大の敵は春先の雪崩(なだれ)である。
[北原正宣]