アルバータ(読み)あるばーた(英語表記)Alberta

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルバータ」の意味・わかりやすい解説

アルバータ
あるばーた
Alberta

カナダ中西部の州。平原州の一つで、面積63万9987.12平方キロメートル、人口297万4807(2001)。州都エドモントン。南は北緯49度線でアメリカ合衆国と、北は60度線でノースウェスト・テリトリーズと、東は西経110度線でサスカチェワン州と接する。西は北半分が120度線で、南半分がロッキー山脈の分水界で、それぞれブリティッシュ・コロンビア州に接する。州の大部分は広大な台地で、北半分は川や湖が多く針葉樹の森林地帯となり、南半分はなだらかな起伏をもつ地域で小麦栽培や牧場地帯となっている。一面に続く小麦畑の果てには壮大なカナディアン・ロッキーズがそびえ、バンフジャスパーなどの国立公園を含む自然公園群は世界遺産(世界自然文化遺産)に登録されている。気候は大陸性で、月平均気温は1月零下10~零下20℃、7月15~20℃。年降水量は350~550ミリメートルだが、南東部は300ミリメートル以下である。

 アルバータをもっともよく特徴づけているのは油田の存在で、1914年にターナーバレーで最初の油田が、1947年にはレデュークで発見された。州内でカナダの石油の80%以上、天然ガスの90%強を産する。さらに、1960年代以降アサバスカのタールサンドが開発された。これらのエネルギー資源の開発に伴って増加した人口は、1941年には80万であったが、1979年には200万人を超えた。エドモントンとカルガリーはビルが立ち並ぶ大都市となった。農業が盛んでカナダ全体の年間生産高の約25%を占め、小麦、大麦テンサイを産出する。州面積の半分以上は森林が占めている。アルバータはカナダでもっとも豊かな州である。

 州の一部は1870年までハドソン湾会社が支配していた。その後、カナダ自治領としてノースウェスト・テリトリーズの一部となり、1882年、ビクトリア女王の娘アルバータ王女にちなんで命名された。北緯55度以南ではカルガリーを首府とする地域が形成されていた。1886年カナダ太平洋鉄道の開通で入植者が急増し、大農場での小麦生産や大規模放牧が有名になった。1905年にカナダ連邦に加盟し、州となる。

[山下脩二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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