ジュークボックス(読み)じゅーくぼっくす(英語表記)juke box

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュークボックス」の意味・わかりやすい解説

ジュークボックス
じゅーくぼっくす
juke box

内部にたくさんのレコードが収納してあり、硬貨コイン)を投入することで希望するレコードを自動的に演奏することができる装置。このような仕掛けの発想は、エジソン式蝋管(ろうかん)レコードの時代にすでにあり、1889年パシフィック・フォノグラフ社のルイス・グラスLouis Glassが、蝋管レコードを使った自動演奏装置をサンフランシスコに設置した記録がある。近代的なジュークボックスは、1927年にオートマチック・ミュージカル・インスツルメント社(AMI)が発売して成功し、多くのメーカーがこれに追随して全米に広まった。初めSPレコードを用いていたが、1949年に45回転シングルレコードが発売されると、レコードはこれに移行した。演奏時、レコードは垂直状態で回転し、レコードの両側に用意された二つのピックアップを選択することにより、どちらの面も演奏できるようになっているものが多い。一つのコインで1曲を指定するだけでなく、複数のコイン、あるいは紙幣で複数のレコードを予約することができる機能をもつものもある。レコード収納数は、初めは数十枚程度であったが、後には数百枚から数千枚に及び、客の要望に広くこたえられるようになり、ホテル、ナイトクラブディスコなどに普及した。日本には第二次世界大戦後、アメリカ駐留軍が持ち込んだものが始まりで、1950年代なかばから1970年代にかけて普及した。カラオケなど新しい音楽の楽しみ方が現れると、客の好みも変わり、直接レコードを演奏する形式のジュークボックスは廃れていった。外国でも従来型のジュークボックスは姿を消したが、シングルレコードにかわってコンパクトディスクCD)を使うジュークボックスが商品化され、さらにインターネットを使って音楽をダウンロードし、つねに最新の曲に更新することができるデジタル方式のジュークボックスが登場するなど、新しいジュークボックス市場が形成されつつある。

[吉川昭吉郎]

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