改訂新版 世界大百科事典 「ジョウカイボン」の意味・わかりやすい解説
ジョウカイボン
Athemus suturellus
甲虫目ジョウカイボン科の昆虫。体は黒色で,前胸の両側や上翅は黄褐色。日本全国のほか,朝鮮半島にも分布する。上翅の縫合部は縦に黒色であるが,生息地によって上翅の黒色化に変化が見られる。体長15mm内外。成虫は5~6月ころ葉上や花上に見られ,昆虫類を捕食するほか,みつもなめる。この間に雌は土中に数百の卵をかためて産みつける。卵は球形で小さい。約10日後に幼虫が出現し,落葉の中や草の根もとを歩き回って昆虫などの小動物を捕食する。幼虫の体は茶褐色でビロード状に短毛で覆われる。幼虫で越冬し,翌年の4月ころコケや石の下などで蛹化(ようか)する。ジョウカイボン科Cantharidaeは世界から約1500種,日本にはアオジョウカイ,キンイロジョウカイ,クビボソジョウカイ,セボシジョウカイなど約300種を産する。いずれも肉食性で,英名はsoldier beetle。花粉やみつも食する。俗に軟鞘類と呼ばれ,甲虫目の中では体が比較的軟らかい。分類上からはホタル科に近い。
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報