スコッチウイスキー(読み)すこっちういすきー(英語表記)Scotch whisky

翻訳|Scotch whisky

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スコッチウイスキー」の意味・わかりやすい解説

スコッチウイスキー
すこっちういすきー
Scotch whisky

スコットランド産のウイスキー。スコットランドにおける蒸留の記録は15世紀の終わりごろから現れるが、現在の風味が完成したのは19世紀なかばのことである。スコッチウイスキーは、まずモルトウイスキーグレンウイスキーというタイプの違ったウイスキーをつくり、両者の特徴を生かしたブレンドによってブレンデッドウイスキーがつくられる。モルトウイスキーは蒸留釜(がま)の構造が単純で、留出アルコール濃度も低いため、エチルアルコール以外に微量ながら数多くの物質を含んでおり、性格もたいへん強く個性豊かである。スコットランドには現在117のモルトウイスキー蒸留所があり、地域的にはハイランドアイレキャンベルタウンローランドの四つに大別されるが、ハイランドをさらに細分するとイースタンスペイサイド、グレンリベット、ノーザン、パースシャー、アイランドの六地区となる。これに対しグレンウイスキーはほとんどローランドでつくられるが、連続式蒸留機を使用するので、14の蒸留所で全モルトウイスキーの1.5倍のグレンウイスキーを生産している。グレンウイスキーは留出アルコール濃度も95%近くと高いので、性格も非常に温和である。実際市場に出るウイスキーは、ごくわずかのモルトウイスキーのほかはほとんどブレンデッドウイスキーで、数多くのモルトウイスキーにより独自の性格をつくり、グレンウイスキーによって強い性格を和らげ、その銘柄の個性を完成させている。現在ブレンデッドウイスキーとして登録されている銘柄は3000を超えるが、市場のほとんどは100に満たない銘柄で支配されている。

[鴨川晴比古]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

飲み物がわかる辞典 「スコッチウイスキー」の解説

スコッチウイスキー【Scotch whisky】


イギリス北部のスコットランド産のウイスキー。五大ウイスキーの一つ。イギリスのスコッチウイスキー法ではスコットランドの蒸留所で大麦麦芽を用いて糖化・発酵・蒸留を行い、スコットランドにおいてオーク材の樽で3年以上熟成したものと規定されている。大麦麦芽の乾燥にピート湿地や浅い沼に水生植物やコケ類が堆積し、炭化してできる泥炭)を用いるため、特有の燻煙(くんえん)香がある。モルトウイスキーグレーンウイスキー、両者を混ぜ合わせたブレンデッドウイスキーがつくられるが、グレーンウイスキーは主にブレンデッドウイスキーの原酒とされる。◇「スコッチ」と略す。

出典 講談社飲み物がわかる辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のスコッチウイスキーの言及

【ウィスキー】より

…1171年イングランドのヘンリー2世がアイルランドを征服したさい,ウィスキーはスコットランドに伝えられた。15世紀にはハイランドでの製造が確立し,スコッチウィスキーはアイルランドのアイリッシュウィスキーと共存することとなった。アメリカでは,ヨーロッパ人の移住とともにウィスキー製造が伝えられ,18世紀の終りにはウィスキー製造は重要な産業となった。…

※「スコッチウイスキー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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