改訂新版 世界大百科事典 「ストレッチヤーン」の意味・わかりやすい解説
ストレッチヤーン
stretch yarn
靴下,ファウンデーション,水着,スキーズボンなどに適した伸縮性のある布の製造に用いられる,伸縮性のある糸のことをいう。綿紡績糸を無緊張状態でマーセリゼーションすると伸縮性のある綿糸となる。製織すると伸縮性が低下するので,伸縮性のある綿織物を製造するには,織物状にしたのち,無緊張状態でマーセリゼーションするのが普通である。ナイロンやポリエステルフィラメントの場合は,その熱可塑性を利用した伸縮性かさ高加工を行い,ばねのようなコイル状などの形態を付与することにより伸縮性のあるテクスチャード加工糸textured yarnとする。狭義には,これをストレッチヤーンと称する。加工法には,大きなコイル形状を与える仮撚法,複雑な捲縮を与える加撚・解撚法(イタリア式仮撚法),ゆるやかなカール形状を与える擦過法(ナイフエッジ法),細かいジグザグの捲縮を与える押込み法,規則性のある大きな捲縮を与える賦型法などがある。仮撚法,加撚・解撚法による加工糸が最も伸縮性が大きく,賦型法によるものがこれらに次ぎ,擦過法,押込み法によるものは伸縮性が小さい。加撚・解撚法,擦過法,押込み法による加工糸は,かさ高性が大きい(バルキーヤーン)。5倍以上に伸びるゴムのような弾性をもつスパンデックス(ポリウレタン弾性繊維)は,単独または他の繊維と混紡して伸縮性のある糸として用いられるほか,スパンデックスを芯糸にし,外側を他の糸で巻いたカバードヤーンcovered yarnや,スパンデックスフィラメントを芯に,他繊維が外側にくるようにつくられたコアスパンヤーンcore spun yarnとして用いられる。
執筆者:坂本 宗仙
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報