日本大百科全書(ニッポニカ) 「スナネズミ」の意味・わかりやすい解説
スナネズミ
すなねずみ / 砂鼠
Mongolian gerbil
[学] Meriones unguiculatus
哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目キヌゲネズミ科の動物。モンゴル、中国北部に分布する。頭胴長11~12センチメートル、尾長8~10センチメートル、体重60~80グラム。尾の先端は房状である。気温変動の激しい砂漠地帯、草原にすみ、45日以上も水なしで生活することができる。草の種子、葉、根などを食べ、貯食習性も発達している。また、食糞(しょくふん)の習性もあり、これによりビタミンB類を補っている。夜行性で、跳躍によって移動するのは、砂漠地帯にすむネズミに共通の特徴の一つである。冬眠する。妊娠期間は25日で、1産4、5子を産む。
本種は実験動物化され、コレステロール代謝、内分泌、癌(がん)、細菌学など広い分野の研究に用いられている。とくに、てんかん様の発作をおこすことから、脳神経学の分野で貴重な実験動物となる。
スナネズミの仲間は、アフリカとアジアの砂漠や半砂漠地帯に多くの属・種がみられる。また、アフリカ南部では腺(せん)ペストの保菌者となっている。
[宮尾嶽雄]