セフェリス(読み)せふぇりす(英語表記)Giorgos Seferis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セフェリス」の意味・わかりやすい解説

セフェリス
Seferis, Geōrgios

[生]1900.3.1. スミルナ(現トルコ,イズミル)
[没]1971.9.20. アテネ
ギリシア詩人。本名 Seferiadis。アテネとパリで学び,1926年に外務省に入り,62年に駐英大使を辞すまで外交官生活をおくった。詩集『分岐点』 Strofi (1931) で詩壇に登場。最初はフランス詩の影響下に定型詩を書いたが,『ミシストリマ』 Mythistorima (35) の頃から自由詩に移り,その後は T.S.エリオットの影響を受けた。詩の言語はギリシア民衆語の可能性を極限まで追求したもので,象徴性に富み思索的であるが,ときとして難解。好んでギリシア神話題材を取り,現代の世界も詩人自身のうちに生き続ける古代として歌われている。代表作は『練習帳』 Tetradio gymnasmaton (40) ,『航海日誌A,B,C』 Imerologio katastromatos A,B,C (40,44,55) ,『つぐみ』 Kichli (47) など。そのほか,ギリシア文化に関する評論集も数多い。 63年ノーベル文学賞受賞。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セフェリス」の意味・わかりやすい解説

セフェリス
せふぇりす
Giorgos Seferis
(1900―1971)

ギリシアの詩人。本名ヨルゴス・セフェリアジス。スミルナ(現トルコのイズミル)生まれ。アテネとパリで法学を学び、外務省に入り、1962年に駐英大使の職を辞するまで外交官生活を送った。詩人としてはフランスとイギリスの象徴派詩人の影響を受け、処女詩集『分岐点』(1931)で詩壇に登場した。初期の作品は、戦間期の祖国ギリシアの暗い世相を反映して宿命論に傾くが、それを救うのは、永遠不滅のヘレニズム(ギリシア文化)の栄光であるとの確信に至る。セフェリスの詩は象徴性に富み、ときとして難解である。おもな詩集に『練習帳』(1940)、『航海日誌甲、乙、丙』(1940~45)、『つぐみ』(1947)がある。エッセイスト、また西欧の詩の翻訳家としても知られている。62年にウィリアム・フォイル賞、63年にノーベル文学賞を受賞した。

森安達也

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