セミノール戦争(読み)セミノールせんそう(英語表記)Seminole Wars

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セミノール戦争」の意味・わかりやすい解説

セミノール戦争
セミノールせんそう
Seminole Wars

アメリカフロリダ地方に住むセミノール・インディアンとアメリカ合衆国との間の一連戦争をいう。 19世紀初頭より中葉にいたるまでに3次の戦争を経て武力にまさるアメリカが勝利を収め,セミノール族の土地を領土とした。 1800年代初頭から,ジョージア白人とフロリダのセミノール族の間でセミノール側への逃亡黒人奴隷の処置や土地問題をめぐって紛争が絶えなかった。アメリカはこの逃亡奴隷の楽天地を覆滅し,あわせてアメリカ領土を拡大することを目指して,セミノール族を攻撃した。 (1) 第1次 (1817~18)   1816年の連邦政府軍の侵攻に続いて,18年には A.ジャクソン指揮下の約 3000人の軍隊がスペイン領フロリダに侵攻した。セミノールの町や村落を破壊し,多数の黒人を捕え,スペイン支配下のセントマークとペンサコラを占領した。この際,イギリス人2名がセミノール族の反米感情扇動の罪状のもとに処刑され,アメリカはスペイン,イギリス両国からの抗議を受けて外交問題となった。しかし,この事件によってスペインの無力さが露呈され,19年スペインはフロリダ地域をアメリカに割譲した。 (2) 第2次 (1835~42)   1832年より,A.ジャクソン大統領の命令によって,セミノール族の西方保留地への強制移住政策が画策されていた。交渉が不調のまま長引いている間にもセミノール族と白人の紛争は絶えず,35年6月交渉に現れたセミノール指導者オセオーラの逮捕,投獄を機に交渉は挫折し,同年 12月セミノール族の決起によって戦端が開かれた。セミノール族はオセオーラを中心としてゲリラ戦を展開し,連邦正規軍を幾度か撃退した。しかし 41年春軍司令官となった W.ウァースは優勢な軍事力を背景として「捜索・殲滅戦」を展開,セミノール居住地を捜索し,家屋作物などをすべて焼却破壊する戦術をとり,セミノールの抵抗力を減殺し,戦争を勝利に導いた。この戦争中にアメリカ側は 2000人の戦死者を出し,約 5000万ドルの戦費を費やした。降伏を拒んだ約 300人のセミノールを残し,住民の大部分は西方保留地へ強制移住させられた。 (3) 第3次 (1855~58)  フロリダ半島南端部の密林に残ったセミノール・インディアンを掃討しようとした戦い。この戦争のためフロリダ残留のセミノール族は約 150人にまで減少したといわれるが,最後まで降伏せず,アメリカも掃討を断念した。第2次世界大戦の際,フロリダ在住のセミノール男子の多くは,アメリカのために戦う理由がないとして従軍を拒否した。

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