セリシン(読み)せりしん(英語表記)sericin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「セリシン」の意味・わかりやすい解説

セリシン
せりしん
sericin

フィブロインとともに繭の繊維を構成するタンパク質。絹膠(けんこう)ともいい、硬タンパク質の一つ。クラマーE. Cramerが1865年繭の繊維から分離し、絹のラテン語sercumおよびギリシア語serikonにちなんで命名した。カイコの中部糸腺(せん)で合成される。アミノ酸組成セリンが多いのが特徴である。熱湯に溶け、冷えるとゲル化する。繭の繊維は、2本のフィブロインが三層のセリシンに覆われてできており、繭のタンパク質成分は、70%のフィブロインと30%のセリシンとからなる。

[降旗千恵]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セリシン」の意味・わかりやすい解説

セリシン
sericin

硬蛋白質一種で,シルクグルーともいう。カイコの繭糸の蛋白質成分の約 30%がセリシンで,70%のフィブロインの周囲に付着している。繭糸の色はセリシン中に含まれるカロテノイド系の色素による。セリシンは 10%のセリンを含んでいる。

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