セルゲーエフツェンスキー(その他表記)Sergei Nikolaevich Sergeev-Tsenskii

改訂新版 世界大百科事典 の解説

セルゲーエフ・ツェンスキー
Sergei Nikolaevich Sergeev-Tsenskii
生没年:1875-1958

ロシア・ソ連邦の作家。本名はセルゲーエフSergeev。教師の家庭に生まれたが,父親はクリミア戦争中のセバストポリ防衛戦(1854-55)に参加した。師範学校に学び,教師をしていたが,1901年より文筆活動に入る。第1次世界大戦にも参加。初期の作品(《ツンドラ》1903,《村の墓地》1904)にはデカダンスの傾向が強いが,しだいにロシアの農村生活をリアリスティックに描くようになり,《ババーエフ》(1907),《野の悲しみ》(1909)では農民に対する愛情が感じられる。14年から43年まで《ロシアの変貌》と題する壮大な歴史絵巻を書く一方,《セバストポリの苦闘》(1937-40)を書き,スターリン賞を受けた。43年にソ連邦科学アカデミー会員となり,文壇長老として活躍した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

セルゲーエフ=ツェンスキー
Sergeev-Tsenskii, Sergei Nikolaevich

[生]1875.9.30. タンボフ
[没]1958.12.3. アルシュタ
ソ連の小説家。詩人として出発したが,のちに散文に移り,『ツンドラ』 Tundra (1903) など絶望と憂愁に閉ざされた短編を発表。続いて『ババエフ』 Babaev (07) ,『野の悲しみ』 Pechal' polya (09) など,民衆への同情をこめてロシアの農村を描いた。革命後は「同伴者作家」の一人として,ネオリアリストのグループに数えられた。代表作『セバストポリの苦悶』 Sevastopol'skaya strada (38) は,クリミア戦争の全貌と,イギリス,フランス,トルコ,ロシアの陰謀の国際的な背景を描いた歴史小説。また第1次世界大戦を扱った3部作『ブルシーロフの突破』 Proryv Burshirova,『大砲は引出される』 Pushka vynuta,『大砲は話しはじめた』 Pushka zagovorila (43~45) は,ロシア帝国陸軍の英雄主義をたたえ,敗北を弁護しようと試みた愛国的作品。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

セルゲーエフ・ツェンスキー
せるげーえふつぇんすきー
Сергей Николаевич Сергеев‐Ценский/Sergey Nikolaevich Sergeev-Tsenskiy
(1875―1958)

ロシア・ソ連の小説家。処女詩集『思索幻想』(1901)を発表したのち散文に転じた。知識人と農村を描いた初期の作品は暗く厭世(えんせい)的だが、革命後建設的な労働者集団を描くようになった。伝記、歴史小説にも優れ、レールモントフを扱った『暴徒と詩人』(1933)、クリミア戦争を扱った『セバストポリの苦戦』(1937~38)などは、第二次世界大戦中愛読された。ロシア民衆の帝国主義戦争に対する抵抗を描いた代表作『ロシアの変貌(へんぼう)』は、『バーリャ』(1914)、『大砲は曳(ひ)き出される』(1944)などの独立の長編を含む。ほかに短編集『真の人間』(1943)などがある。

[沢崎洋子]

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