セルゲーエフ=ツェンスキー(読み)せるげーえふつぇんすきー(英語表記)Сергей Николаевич Сергеев‐Ценский/Sergey Nikolaevich Sergeev-Tsenskiy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

セルゲーエフ=ツェンスキー
Sergeev-Tsenskii, Sergei Nikolaevich

[生]1875.9.30. タンボフ
[没]1958.12.3. アルシュタ
ソ連の小説家。詩人として出発したが,のちに散文に移り,『ツンドラ』 Tundra (1903) など絶望と憂愁に閉ざされた短編を発表。続いて『ババエフ』 Babaev (07) ,『野の悲しみ』 Pechal' polya (09) など,民衆への同情をこめてロシアの農村を描いた。革命後は「同伴者作家」の一人として,ネオリアリストのグループに数えられた。代表作『セバストポリ苦悶』 Sevastopol'skaya strada (38) は,クリミア戦争の全貌と,イギリス,フランス,トルコ,ロシアの陰謀の国際的な背景を描いた歴史小説。また第1次世界大戦を扱った3部作『ブルシーロフの突破』 Proryv Burshirova,『大砲は引出される』 Pushka vynuta,『大砲は話しはじめた』 Pushka zagovorila (43~45) は,ロシア帝国陸軍の英雄主義をたたえ,敗北を弁護しようと試みた愛国的作品。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

セルゲーエフ・ツェンスキー
せるげーえふつぇんすきー
Сергей Николаевич Сергеев‐Ценский/Sergey Nikolaevich Sergeev-Tsenskiy
(1875―1958)

ロシア・ソ連の小説家。処女詩集『思索幻想』(1901)を発表したのち散文に転じた。知識人と農村を描いた初期の作品は暗く厭世(えんせい)的だが、革命後建設的な労働者集団を描くようになった。伝記、歴史小説にも優れ、レールモントフを扱った『暴徒と詩人』(1933)、クリミア戦争を扱った『セバストポリの苦戦』(1937~38)などは、第二次世界大戦中愛読された。ロシア民衆の帝国主義戦争に対する抵抗を描いた代表作『ロシアの変貌(へんぼう)』は、『バーリャ』(1914)、『大砲は曳(ひ)き出される』(1944)などの独立の長編を含む。ほかに短編集『真の人間』(1943)などがある。

[沢崎洋子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例