日本大百科全書(ニッポニカ) 「センスガイ」の意味・わかりやすい解説
センスガイ
せんすがい / 扇子介
扇子貝
crisp coral
[学] Flabellum distinctum
腔腸(こうちょう)動物門花虫綱六放サンゴ亜綱イシサンゴ目センスガイ科に属する海産動物。センスガイ科の種はすべて単体で、囲壁がエピテカとよばれる形質でできていて、セプトテカでできているチョウジガイ類諸科と区別される。フラベリウム属Flabellumは莢心(きょうしん)に軸柱の発達が悪く、下端はややとがり、根様突起を備えず、サンゴ体は側方に扁圧(へんあつ)された形になる。幼時は付着生活をするが、成長すると柄部が切れて自由生活をする。世界中の海域に分布し、普通は100~300メートルの大陸棚上にみられるが、3000メートル以深にも生息する。センスガイはサンゴ体上縁が半円状に突出し、側稜(そくりょう)のなす角度は80~110度で、側方から見ると扇子を開いた形に似る。世界共通種で、日本沿岸でも太平洋および日本海の大陸棚70~600メートルにもっとも普通に産する深海サンゴである。
近縁種にウチワサンゴF. pavoninum paripavoninum、莢面が菱(ひし)形のキンシサンゴF. deludens、莢面がやや楕円(だえん)形でほとんど円筒形をしたクサビサンゴF. transversale、下端に根様突起をもったタコアシサンゴMonomyces niinoiなどがある。
[内田紘臣]