ラグタイム(読み)らぐたいむ(英語表記)ragtime

翻訳|ragtime

デジタル大辞泉 「ラグタイム」の意味・読み・例文・類語

ラグタイム(ragtime)

19世紀末、米国の黒人により作り出されたピアノ音楽の演奏様式。シンコペーションを伴うメロディー特徴で、ジャズの一つの源流ともなった。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「ラグタイム」の意味・読み・例文・類語

ラグタイム

  1. 〘 名詞 〙 ( [アメリカ] ragtime ) 一九世紀末アメリカ合衆国に生まれた、固有のシンコペーションをもつピアノ用の曲、およびそのピアノスタイル本来、譜面通りに演奏されたが、初期のジャズに影響を与えた。〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ラグタイム」の意味・わかりやすい解説

ラグタイム

米国南部のミズーリ地方の黒人ピアノ奏者たちによって始められ,1890年―1910年ころに流行した音楽のスタイルリズムシンコペーションになっているのが特徴で,のちのジャズの一要素。ヨーロッパの舞曲のリズムと黒人の民俗音楽の混合したものとみられる。
→関連項目ウォーラーカーペンタージョプリンディキシーランド・ジャズ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラグタイム」の意味・わかりやすい解説

ラグタイム
らぐたいむ
ragtime

アメリカのピアノ音楽。1890年代の中ごろ、ミズーリ州シダリアおよびセントルイスのクラブや酒場の黒人ピアノ奏者の間でおこった。スタイルとしてはシンコペーションによるリズミックな魅力に特色がある。作曲は楽譜に記され、即興演奏は許されず、譜面どおりに演奏する。ヨーロッパ音楽と黒人音楽最初のみごとな融合として歴史的に重要な意義のある音楽で、ジャズの母体の一つにもなった。ピアノ奏者スコット・ジョプリン(1868―1917)が作曲した『メイプル・リーフ・ラグ』(1899)の大ヒットもあって1910年代にかけて流行。72年に再注目され、73年の映画『スティング』にもジョプリン作曲『ジ・エンタテイナー』が使われた。

青木 啓]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

音楽用語ダス 「ラグタイム」の解説

ラグタイム [ragtime]

19世紀後半からジャズが誕生する最初の時期にアメリカで流行ったピアノ音楽の一種。ジャズの先駆ともなった音楽で、主にピアノで演奏された。ビート感覚は黒人音楽特有のものだが、ハーモニーは西洋音楽の影響を受けており、即興演奏はなかった。2/4拍子や4/4拍子の曲で、シンコペーションを多く用いたリズムを特徴としている。「ラグタイム」という言葉は、このリズムを表わす ragged (でこぼこした、という意味)からきている。最も有名なラグタイムのピアニスト兼作曲家は、スコット・ジョプリン (1868-1917)、ジェームス・スコット(1886-1938)、ジョセフ・ラム(1887-1960)である。

出典 (株)ヤマハミュージックメディア音楽用語ダスについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラグタイム」の意味・わかりやすい解説

ラグタイム
ragtime

音楽用語。 19世紀末~20世紀初めアメリカで流行したポピュラーなピアノ曲の一形式。左手は偶数拍子で和音をたたき,右手で鋭いシンコペーションのメロディーを奏するのが特徴。ミズーリ州のセダリアで生れ,セントルイスを中心に発達,1880年頃には各地で演奏されるようになった。 S.ジョプリンや J.スコットにより作曲され,95年頃には最盛期に達したが,その後スイングやモダン・ジャズに押されて衰退した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「ラグタイム」の解説

ラグタイム

1996年初演のミュージカル。原題《Ragtime》。作詞:リン・アーレンス、作曲:スティーブン・フラハーティ。E・L・ドクトロウの同名の小説を題材とする。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のラグタイムの言及

【ジャズ】より

… ディキシー時代のジャズを構成した音楽的要素のなかでいちばん目だつのは,ブラスバンドが演奏していた行進曲的要素であるが,ほかに各国民謡,セミ・クラシック,ブルースblues(南部の田舎に生まれた黒人の歌。最初は一定の形式がなかったが,ジャズ発生と同時期に,4小節3段,1コーラス12小節形式を標準とするようになった),ラグタイムragtime(南部の黒人ピアニストがケークウォークcakewalkというダンスのための音楽として作曲したピアノ音楽。19世紀のクラシック・ピアノ曲に準じた形式をもつが,リズムはシンコペートされている。…

【ポピュラー音楽】より


[アメリカのポピュラー音楽]
 アメリカがポピュラー音楽の一つの中心地であることは広く認められているとおりだが,この国はかつて南部に多数の黒人奴隷を抱えていた特殊事情により,先進国型と植民地型の両方のポピュラー音楽をもつこととなる。前者は,ニューヨークの音楽業界が資本主義的生産様式に従って作り出すポピュラー・ソングとブロードウェー・ミュージカル(ミュージカル),つまりアメリカでよく使われる言葉でいえば〈メーンストリーム(主流)〉音楽であり,後者は,ローカルなセミプロ的ミュージシャンが民族的基盤から生み出したブルース,ラグタイム,ジャズ,リズム・アンド・ブルース,ロックンロールなどである。上記の2種は,白人系音楽と黒人系音楽にそれぞれ当てはまるものではない。…

※「ラグタイム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android