センナ(読み)せんな(英語表記)senna

翻訳|senna

日本大百科全書(ニッポニカ) 「センナ」の意味・わかりやすい解説

センナ
せんな
senna
[学] Cassia
Senna

マメ科(APG分類:マメ科)の高木、低木または草本。南北アメリカ、アフリカ、オーストラリアなどに450種分布する。観賞用のものを属名のカッシアで総称し、薬用とするものをイギリス名のセンナで総称している。葉は羽状複葉、花は黄色または淡紅色で総状花序につく。観賞用のものには、グラウーカ種Senna sulfurea (Collad.) H.S.Irwin et Barneby(C. glauca Lam.)、ディディモボトリア種S. didymobotrya (Fresen.) H.S.Irwin et Barneby(C. didymobotrya Fresen)がある。グラウーカ種は和名コバナセンナで親しまれ、鉢植えにしたり暖地での庭園樹とする。宮崎県、鹿児島県では街路樹としている。ディディモボトリア種は高さ3メートルとなり、分枝の先に多数の花をつける。これらのほかに、花が美しく高木になるものにフィスツラ種(和名ナンバンサイカチ)C. fistula L.、グランディス種(和名ウマセンナ、モモイロナンバンサイカチ)C. grandis L.f.などがあり、熱帯各地で街路樹などにする。

 薬用にするアクティフォーリア種(和名アレクサンドリアセンナ、コバノセンナ)Senna alexandrina Mill.(C. acutifolia Delile)とアングスティフォーリア種(和名アレクサンドリアセンナ、ホソバセンナS. alexandrina Mill.(C. angustifolia Vahl)は、葉をセンナ葉と称し、瀉下(しゃげ)剤に用いる。またオクシデンターリス種(和名ハブソウS. occidentalis (L.) LinkC. occidentalis L.)とトーラ種(和名エビスグサ)は、種子を波布(はぶ)茶に用いる。

 カッシア属には、このほかに、家具材とするタガヤサンなども含まれる。

[坂梨一郎 2019年10月18日]

 カッシア属は1981年にカワラケツメイ属Chamaecrista、センナ属Senna、ナンバンサイカチ属Cassiaに分割された。

[編集部 2019年10月18日]

栽培

観賞用のものは3~5℃以上を保てば越冬する。用土は川砂を多くした排水のよい培養土を用い、日当りのよい場所で育てる。繁殖挿木または実生(みしょう)により、適期は6月ころである。

[坂梨一郎 2019年10月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「センナ」の意味・わかりやすい解説

センナ
Cassia

マメ科カワラケツメイ属 Cassiaの旧学名がセンナ Sennaで,本来はこの属の総称であるが,単にセンナと呼ぶときは,そのうちの1種北アフリカ原産の Cassia acutifoliaをさす。長い柄のある羽状複葉を互生し,葉腋に短い総状花序を出して黄色の花をつける。この属はマメ科ではあるがジャケツイバラ亜科に属するので蝶形花はつけず,5弁の花弁を平開し,おしべも癒着した単体おしべをつくらずに放射状に離生している。葉を乾燥したものを生薬で「センナ葉」と呼び,アラビアやインドでは C. angustifoliaを栽培して生薬チンネベリーセンナとし,アフリカのスーダン地方では C. acutifoliaを栽培して生薬アレキサンドリアセンナとして,いずれも緩下剤に利用する。また,しばしば条虫駆除の際,セキリュウ皮と併用する。有効成分はセンノシドAおよびB,アロエ,エモジン,クリソファン酸,レイン,ケンフェロール,イソラムネチンなど。日本では同属のエビスグサ C. obtusifoliaハブソウ (波布草)が栽培され,前者はセンナ同様に薬用に,またハブソウははぶ茶として利用される。

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